Shinokichi

blank13のShinokichiのネタバレレビュー・内容・結末

blank13(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

お葬式の話と事前に耳に入っていたけど、父親に振り回され苦労した家族の話。共通点を感じて気分沈む。お葬式って不思議な催しだと、故人のためというより残った人のためのものという見解がこちらを観てさらに強くなった。

見る角度によって人の印象は変わる。
借金残され失踪されれば、子供からは迷惑な毒親でしかない。貸してくれた金が借金とは知らない弔問客から見れば恩人だ。
だから、その為人やら性格というのは、自発するものではなく、第三者によって様々に受け取られ、形作られるものなのだろう。

故人や親を悪く言う風潮を否定されてしまう世の中に疑問を抱くのだが、死んだらみんな良い人になる訳はない。地獄でも苦しめと思うほどの悪人はいる。

友人のための借金だったことがわかり、救われた人もいたことを知る。恨みしかなかった父親の知らなかった意外な一面を知り、葛藤が生じる。
内田也哉子さんの素晴らしい弔辞を思い出す。「Don’t Rest In Peace」
「毒親」という言葉と存在がやっと認識浸透してきた昨今。親子関係って閉ざされた空間での問題だから、他者からは理解されにくく、一般的な家庭との比較も難しいため、自覚すること含めて厄介だ。

毒親だった過去を、恩人と感じてた弔問客にぶちまけたい、わかって欲しいけど知られたくないっていうジレンマ。

監督と出演とをこなした斎藤工自身も複雑な想いや過去を抱えているのかも、なんて感じてしまった。

それにしても、リリーさんて元々はイラストレーターだよなぁ。ひとくせあるオッサン役をやらせたら他の役者さんに負けない存在感。
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