上映当時、地元の映画館では上映対象外で、泣く泣く見るのを諦めた作品。
斎藤工が監督を務めた作品でもある。
今作は、70分という短い時間なのにもかかわらず、沈黙の時間が多かったのが印象的だった。
その分、ほんのわずかな表情や仕草で、
語られていた気がする。
また、病院の屋上での、リリー・フランキーと高橋一生が会話するシーンでの距離感が、2人の心の距離を表しているように感じた。
そして、意外とハマっていたのが、
佐藤二朗を葬式に集まるメンバーの中で、一番まともな人として、キャスティングしたことだ。
彼にあえてその場を仕切らせることで、今作を作品としてのギリギリのラインに留めていた気がする。
息子たちが知らぬ父の姿が、どれだけのものか正直期待を膨らませていたが、
その機体は、いい意味で裏切られた。
実話を基にしているため、当たり前ではあるが、リアリティが半端なかった。
どんなに父を憎んでも、楽しかった思い出は消えない。
どんな父を嫌おうとも、そんな父を慕っている人たちがいたことは変わらない。
とにかく家族について、色々と考えさせられる作品だった。
我々子供は、家にいる父の姿以外多くは知らない人が多いと思う。
そんな家の外の世界での父の姿を知ることで、見方は何度でも変化する。
そんなメッセージを、今作は、私たちに投げかけているのでないだろうか。