ハル

ゲット・アウトのハルのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.7
『NOPE』公開時、よく話題に上っていた作品。
ジョーダン・ピール監督の長編映画デビュー作。

ジャンルとしてはスリラー/ホラーなので描写キツめのやつかな?と身構えて見ていたけど、そこまで残忍な描写はなかった。
人種差別に対する批判でありながらも、間接的に表現していく少し変わった手法。

“明らかな何かが起こるわけではなく、でも何か起こっている感覚”が冒頭から続く。
アーミテージ家から感じられる言語化できない不気味な気持ち悪さやまとわりつく不快感。
心がざわつき落ち着かない。

それと同時に人種差別の垣根は深く、日本人には到底理解できない感覚なのが激しく伝わってきた。
海外旅行で時折感じる、アジア人差別などの比ではない確かな闇。
こうした描写からは安易に踏み入れてはいけない歴史的な背景と重圧を感じさせるね。

また、キャラクターで特徴的な人物を一人挙げると、クリスの親友の下ネタ大王が良い味を出している(この人の下ネタはかなりえげつないw)
最終的に彼の奮闘によって話が動いていくわけなので、ピンチのときに頼れるのは行動力ある友人だなとしみじみ。

見終わった後の率直な感想として…
中盤までの構成は良く出来ていると思う一方、伏線回収やラストスパートへの流れは規定路線の作品。
つまり、オチ弱め。
示唆されていた事がそのままその通りになっていく展開なので、期待を裏切る意味でも一工夫ほしかったかな。
挑戦的且つ斬新な作品という前評判にしては、やや物足りなさが残った。
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