ローズバッド

ゲット・アウトのローズバッドのネタバレレビュー・内容・結末

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

『Yo!ブラザー!なんで白人のポリ公どもが、オレら黒人を目のかたきにするか知ってるか?
奴らの嫁さんが、寝言で「あぁ〜ん、やっぱり銃は白じゃなくて黒だわぁ〜♡」って言うからさ!』

ハイ。この映画の内容を短いアメリカンジョークにまとめてみました。
素人なりに、まぁまぁ良く出来てると思ってるんですが、どうでしょうか…。

要するに、こんな下世話な人種ネタを、ホラー映画の型に変換してみた、って映画ですね。
観賞中は「全米大ヒットらしいけど、めっちゃ怖いわけでも、ギャグが突き抜けてるわけでもないな〜」と思って、大ヒットした文脈がよく解らなかったんですが…。
後になって「キー&ピールのピールが初監督」を見て、「なんか聞いた事ある名前だな…あっ、超人気コメディアンか!」となって、本作が米国でウケた文脈がすべて腑に落ちた。
米国の観客は「TVでお馴染みのギャグのホラー版」として観てたのね。
なるほど、その文脈を知らない僕のような日本人は、面白さの半分を共有できてないのかもしれない。
まぁともかく、超人気コメディアンが、自分の持ちネタでホラー映画作って大ヒットって、スゲーな!




以下、完全にネタバレです!








日本で例えるなら、在日韓国人のお笑い芸人が、
「イケメン細マッチョの在日韓国人の男の子に、日本人の彼女ができて、実家に挨拶に行ったら、超ヘイトスピーチ家族だったけど、実は韓流スターに憧れてる奴らで、あやうくイケメン細マッチョを奪われそうになりました」
…ってネタで、M-1グランプリか、キングオブコントで優勝して、そのネタを自ら監督してホラー映画化、そして大ヒットを飛ばす…って感じかな。
日本では、そんな漫才やコントはウケないだろうなぁ〜、映画にしたらネトウヨの上映禁止運動が起きるんじゃないかなぁ〜。
僕は、そんなヤバい邦画があったら絶対見たいけどなぁ〜。

最近フジテレビが“保毛尾田保毛男”を28年ぶりに復活させて、「いまだにゲイ差別するのか!」「お前らゲイのほうこそ不寛容だ!」って論争になったけど…。
一番の問題は、番組の企画力が無さ過ぎることだと思う。
ただ復活させて街ブラ企画とかしたって、批判されるだけに決まってるじゃないか。
そんな事、頭の良いTV局の制作者たちなら解ってるはずなのに、不思議。
28年前の子供の頃に、保毛尾田保毛男に傷つけられたゲイの人達を集めて、保毛尾田保毛男(石橋貴明)と、喧々囂々、議論というか口喧嘩したあげくに、「じゃあ決着つけようぜ!」ってことで、金の掛かった巨大セットでゲームをやって、爆発させたり、ローションで転んだり、泥まみれになって、ついに和解して抱き合う、みたいなバカバカしい企画をすれば、誰も文句を言わず、むしろ、なんだか感動的な神企画になったんじゃないかなぁ。
それこそ、とんねるずらしいんじゃないかなぁ。

もし、この『ゲット・アウト』 が、単に「白人至上主義の奴らに奴隷にされました」っていう映画だったら、「今どき、そこまでのレイシストなんて、ほんの僅かしかいねぇよ!白人をステレオタイプにすんな!」って批判されてるに決まっている。
それを、ジョーダン・ピール監督は、企画力でうまく避けてるんだよなぁ。
…というわけで「お笑い」の可能性について、いろいろと関係ない事まで考えてしまったコメディホラー映画でした。