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ゲット・アウトのyksijokiのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.1
Run rabbit run. にっ、逃げろぉおお!
フリオチがしっかりしているというか作品を通じてすべての伏線をスイスイ回収してくるところが素晴らしかった。

全体にモワーッと漂う不気味な雰囲気の演出と、出てくるすべての人の怪しさ満点の笑みと態度。観客は完全にクリスと同じ目線から「こいつら絶対なんかヤバイ」を体感させられる。

黒人への一定の理解を示しながらも何かがおかしいアーミテージ一家と取り付かれたような目付きが怪しい2人の黒人使用人。そして開かれる怪しげなパーティ。舞台が整ったところで我々とクリスに少しずつ明かされるヒント。クリスと見ている観客が同じ立ち位置から謎を解いていく姿がサスペンス的で非常に面白かった。

ホラー的な描写や要素はそこまで多くないのでホラー映画だと思ってみると少し肩透かしを食らうかも。ただ、超常現象ではなくあくまで日常の中にある2つのホラ-シーン(横切るやつ)はマジでビビった。

劇中ではある人心掌握術が巧みに用いられているんだけれど、その描写はちょっと正直いまいちだった。コメディ的すぎたと言うか、リアリズムが少し失われた感じ。

クライマックス前の伏線回収フィーバーはこちらの予想通りになっていってとても爽快。劇中でのBGMもほとんどないながら、冒頭のあの曲の悪い感じが耳にのこるあの感覚は選曲の妙だなと思った。

全体に流れるそこはかとない不気味な空気感と気づいていくクリスの顔、そしてジョージナという使用人。顔芸と雰囲気だけかもしれないけどここだけで観る価値があった。エンターテイメントとしてすごく楽しめた作品でした。
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