スキピオ

ゲット・アウトのスキピオのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.0
<観客99%満足に偽りなし!>

黒人男性と白人女性のカップルが初めて女性の実家に遊びに行こうとするが、男は黒人であることを心配する、女は「そんな心配は一切いらない」と言うが…実家への道程での些細なトラブルから伏線ははじまっていた。

傑作ホラーとの噂に違わず最高だった。ただ驚かせるようなショッキングなホラーとではなくて、数々の伏線を回収しながら「理詰め」でジリジリとやってくる恐ろしさというより不気味な映画という感じなのでサスペンス好きな人の方が楽しめる。 ヒッチコックリスペクトにもニヤリ。

黒人差別的要素もホラーへの下敷き程度かと思いきや、絶対に反論できない場で白人の酔っ払いから「黒人だから格闘技はやるのか?でもああいうのは頭が良くないと無理だ(お前ら黒人には無理)」みたいなことを言われても常に笑って受け流さなきゃいけないしそれがもう当たり前みたいな地獄のようなシーンばかり、フィクションのなかで異彩を放つこの描写のリアルさに、静かにギョッっとしてしまった。ゴールデングローブ賞のジャンル分けに対して監督が「ドキュメンタリーだ」とツイートした通り実体験なんだろうなぁ。改変されたというラストなど、黒人差別に関しても伏線のなかに深読みポイント、すぐに気づかないポイントが多くあるので解説サイトなどを見ながらもう一回見返したくなる。

緊張感ある重苦しいシーンばかりと思いきや、黒人男性の親友の明るいキャラクターがさいこうで、友のために東奔西走する姿が物語のアクセントになっていてエンターテイメントとしてバランスがよく仕上がっている。

今後語り継がれること間違いなしの一作なのでぜひ劇場で。