たつなみ

ゲット・アウトのたつなみのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.5
最高!
最初から最後まで目が離せない。
字幕と吹き替え両方観てしまった。
全てが明らかになって2回目を観ると更に恐怖が増して面白い。

冒頭から常に気味の悪い緊張感が漂い、徐々に恐怖の世界が露わになる。

知らない土地(世界)に行くことの恐怖。
彼女(他人)の家に行くことの恐怖。
自分(黒人)だけが周りの人(白人)と違うという恐怖…。
異常なまでにクリスを褒め、異常なまでに親切な白人どもの目が本当に恐ろしい。

設定や展開は傑作ホラー『ホステル』に非常に似ているが、そこに『人種差別』というタイムリーで根深いテーマが加わっている。
黒人監督のジョーダン・ピールだからこそ、この作品で描かれる恐怖や不安に妙なリアリティがある。

作品の恐ろしい雰囲気の中で、コメディリリーフのロッド(L.R.ハウリー)のパートは最高に笑える。
この『恐怖と笑いのバランス』も絶妙。
ここはコメディアン出身のピール監督ならではということだろう。

主演のダニエル・カルーヤは表情豊かな演技が素晴らしい。
『ブラックパンサー』にも出ているらしいので観てみたくなった。
そして、『スリー・ビルボード』にも出ていたケイレブ・ランドリー・ジョーンズのサイコな演技も印象的。
本当に彼はこういう役ピッタリだね。

ラストでの彼女に対するクリスの行為は思わず泣けてきた。
DVDの映像特典でもう一つのエンディングがあったが、そっちより絶対この終わり方の方が良い。
観終わった後に思わず親指を立ててしまった。

本当は満点を付けたい所だが、個人的に2018年のオスカー脚本賞は『スリー・ビルボード』だと思っているので4.5点で。