恭介

ゲット・アウトの恭介のレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.8
旬を過ぎた頃に観るシリーズ⑤

レンタル始まってもまだ旬は
過ぎてないぐらいの息の長さ。

もう最初から最後まで不穏な空気が
画面から漂ってて心地よい疲労感が
半端ない。

現実離れしたキャラクターや
怪物など一切出ないのにこのホラーの
ような緊張感は凄い。

鑑賞前の印象では、割とありがちな黒人への人種差別問題を絡めたサスペンス
だったが、白人が黒人に抱く羨望や
嫉妬を軸にした逆説的な展開が新鮮。

スポーツ界やミュージックシーンを
見渡し、根本的な身体能力の凄さや
ハングリー精神の強靭さに対して
賞賛する反面、ある種の人々はその裏で
嫉妬に似た何かを燻らせているのでは・・・それが水面下から表に出た時の
残虐性をまざまざと見せつけられてる
気がした。

しかし後半、事の真相が分かった時点
からの駆け足感と、スパッと切られた
感じの終わり方がちょっと惜しかった
かなぁという感じ。
ネットリとまとわりつくような中盤
までの展開から一気に加速し過ぎて
詰め込んでしまってるような気がした。

その中盤までの効果音でビックリさせる
ようなありふれたものじゃなく、
何か背筋がゾッとするような演出が秀逸。
それまで雑談をしていたみんなが
主人公が二階に上がった瞬間に
二階を見上げるシーンや、ビンゴゲーム
の静けさなど、アカデミーでは脚本賞受賞の賞賛を受けたが、個人的に本作の
成功は演出力によるところが大きいと
思う。

当分、カフェに行った時は
スプーンが気になってしまうだろう
(笑)
恭介

恭介