もるがな

ゲット・アウトのもるがなのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
5.0
驚異の人種差別ホラー。彼女の家に行って両親に挨拶するというだけでもかなり怖いのに、彼女の実家がどこかおかしいというのはいくらなんでも怖すぎる。ホラーのお約束である身近な問題を扱う親近感に、主人公の人種という孤立無援、田舎という閉鎖状況の要点をしっかり満たしており、主人公の居心地の悪さがゾワゾワと背筋を這うように伝わってくるのだ。こんなに怖いホラー映画は久しぶりだ。

この作品の仕掛けはある意味では叙述トリックであり、先入観があればあるほど騙されてしまう。それは偏に世間の空気感もあるのだろう。そうだと思っていたものがそうではなかったことや、嘘だと思っていたものが嘘じゃなかったことなど、見ながら感じていた「ズレ」が明かされた瞬間に、身を凍らせる恐怖へとダイレクトに繋がっていく。この辺は語り過ぎると野暮になってしまう。

タイトルのゲットアウトがダブルミーニングであることに終わった後に気づいた。冒頭から幕引きに至るまで丁寧にいくつも伏線を張っており、2回目に観るとまた感想が変わるだろう。脚本は素晴らしいが、それだけでなく雰囲気も一級品だと思う。
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