こたつreboot

ゲット・アウトのこたつrebootのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.8
★ 黒と白が入り乱れた灰色の小部屋

これは確かに「ネタバレ厳禁」の作品でした。
何も知らずに臨めば、物語の色が変わっていく様を十二分に楽しめたのだと思います。

しかし、残念なことに。
情報を遮断したつもりでも、どうやら徹底できていなかったようで…。唯一、耳にしていた些末な単語と、常日頃から差別意識と好奇心の差について考えていたことが重なり、先の展開が読めてしまったのです。

中でも「××の××は××××だった」という展開まで予想できたのは残念無念。あの場面は「ですよねえ」と頷くのではなく「えっ」と数歩下がるのが本来の姿ですからね。一番美味しい部分を逃してしまった気持ちで満載なのです。

まあ、そんなわけで。
感想を書くのがとても難しい作品。
想像力を刺激するような文章が、物語の醍醐味を損なう可能性がありますからね。いっそのこと、嘘八百を並べ立てて、最後の一文に「ウソぴょん」と書きたいくらい…って、それ良いアイディアですね。

えー。いったん仕切り直しします。

本作は“差別意識”に言及する物語でした。
しかし、それは表層の部分の話。根底に流れるのは「隣の芝生は青く見える」という愚鈍なまでの羨望。身の程を弁えない欲望。原罪とも言える“負”の感情。

だから、とても気持ちが悪いのです。
ニタニタと微笑みながら「○○○は×××だから良いねえ」と口にする向こう側に、本人が気付いていない“悪意”が潜んでいるのですからね。無自覚の褒め殺しほど罪なものはありません。

それを痛烈に描ききったからこそ。
アカデミー賞にノミネートされ、脚本賞を獲得したのでしょう。

まあ、そんなわけで。
これまでとは違った角度から“差別”を描いた物語。肉体や容貌の違いに言及するのは(本人が誉め言葉だと思っても)配慮が必要だと教えてくれる良い作品でした。

最後に余談として。
僕もたまに"外観"について言われることがあるのですが、結構返答に困るのです。「ありがとうございます」と言えば良いのか「そんなことはないですよ」と言えば良いのか。正直なところ、どちらもウソですからね。僕のように“正直者”にはツラい展開なのです。

ウソぴょん。