よく練られたストーリーが展開され、ビックリさせるというよりぞくぞくっとくる怖さ。核心に迫るごとに引き込まれていきますが、ちょっとした顔つきとかセリフが「なんか変だぞ」といった違和感に繋がって時折ゾワっとくる。それが次々と積み重なっていきます。そして核心に到達すると今までの違和感が実は伏線になっていることに気づき「あ、そういうこと?!こわ!」って感じで回収されていきます。
「ちょっと期間を置いて、また観るのも楽しいかも」と思い再鑑賞しました。回収したつもりの伏線たちも再確認ができますからね。
もう一つ印象的だったのが人種差別がテーマになっているという点。眠たそうな目つきが特徴的なダニエル・カルーヤが演じるのが主人公で黒人。彼にアプローチする白人たちはとてもフレンドリーながら、その言葉の裏に差別を感じてしまい「まだまだ人種差別って根強く残ってるんだなー」って理解したつもりになります。でも実は、これが監督が仕掛けた巧妙な罠になっているようです。
人種差別問題に対して理解していたつもりで、実はよく理解していないことに気づかされるような…。人種差別に対するメッセージを汲み取り、共感しかけてきた私を突き放してくる感じがします。
伏線回収でスッキリって無邪気に面白がる一方で、いい意味でちょっと複雑な気分にもさせてくれる映画でした。