綿と紅茶と劣等感
あらすじ :
恋人のローズの実家に招待された写真家のクリス。自分が黒人である事に一抹の不安を感じるクリスだが、予想に反して白人のローズ一家は彼を手厚くもてなす。しかし彼らのベタ褒めぶりや黒人使用人の異常な雰囲気にクリスは強い違和感を感じ始める。
(^罒↑)「NO…nonononononon〜」
差別的な発言が無いのに何かおかしい…と終始感じさせる気味の悪さが絶妙。
ギリギリ噛み合わない黒人同士のコミュニーケーションや怖すぎる笑顔、やたらと親身な金持ちの白人達に違和感がジワジワと溜まっていく。
そんな違和感が後半で全て解消され、奇行や違和感の裏にあった恐ろしい真実には肝が冷えました。オカルトじみたぶっ飛んだ展開だけど、悲痛の叫びが誰にも伝わらない黒人の恐怖にこっちまで怖くなってきます。
何か悪い夢を見ているよう。
今作では見下すだけが差別ではないという事実を突きつけてきます。
白人達の根っこにあるのは無意識の黒人差別。「黒人だから運動神経高いんだろ？」という先入観は誰もが思い浮かべた事があるのでは？
老人達の黒人への思い込みや劣等感に基づく、形を変えたかつての蛮行の再現は吐き気を催す邪悪そのもの。
ただこの映画、何も知らないで観るより黒人弾圧の歴史を知っておかないとあまり入り込めずに楽しめないと感じました。
実は1回目では面白さがよく分からず、各種小道具の意味やストーリーのネタバレを仕入れた上での2回目の鑑賞の方がスリリングでした。
上記の感想はそれに基づいています。
カメラのフラッシュの意味が分かった時、この物語は今の時代だからこそ作られたのだと痛感。
黒人差別問題をこのような形で表現できる事にエンタメの力を思い知りました。
人によって色々読み取れる”ゲット・アウト”の意味。個人的にはかなりヒェッとなった。
