ダニエル・カルーヤの目の演技の説得力がすごいです。鈍感なマジョリティなら差別とは気付かないかもしれない、でもマイノリティには刺さる「いつもの偏見」のオンパレード。それを受けるたびに沈黙して微笑む彼の、傷つくことすら諦めたかのような目。「これくらいよくあることだ、むしろマシな方だ。やり過ごすしかない。こんなことでいちいち怒ってたら僕ら黒人は生活できない」と彼は決して口に出しては言わないのに、目だけで伝わってきます。そうやって毎日ずっと諦め続けることを絶望というのでしょう。「無自覚な差別」をやりがちな日本人の1人として自戒を込めて。