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大殺陣のcatmanのレビュー・感想・評価

大殺陣(1964年製作の映画)
4.0
1964年公開。前年に公開された『十三人の刺客』と監督・脚本が同じであり双方とも東映による “集団抗争時代劇” ということで、全体の印象としては近いものがある。最大の見せ場、人数及びセットが非常に大掛かりな殺陣のシーンは、集団アクションをじっくり捉える超ロングショットと激しく揺れる手持ちカメラの接近映像との対比がカッコ良くって、劇場のスクリーンで観たらさぞやと思わせる。過剰なSEが無いのも好み。但し戦いが些か長過ぎて間延びするので、あと3分短かったら自分にとっては最高だった。またクライマックスに至るまでのハードボイルド風の展開もなかなか渋くって、終盤の激しい映像とは対照的な画面の構図とモノクロの陰影バランスがよく考えられた静的ショットがクール。必要最低限の劇判も良き。
一方で里見浩太朗が演ずる主人公をはじめ、登場人物の掘り下げが浅く、尚且つ物語の背景が複雑で全体像を把握するのが難しいためドラマ的な感動は深くない。オマケに古い言い回しや固有名詞が多く台詞の意味が分かりずらいのも難点。やっぱり昔の時代劇には日本語字幕を付けて欲しいな。
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