長篇映画『ブンミおじさんの森』制作までの前日譚、その舞台であるナブア村の下見話から始まり、その歴史と生活を感じさせる室内撮影(これは『エメラルド』の室内撮影とまんま同じ)や、楽しげor虚無な軍服青年たち(ナブア村には軍の迫害が影を落としてるらしい)を経て、最後は長篇冒頭に登場する牛がフェイドアウトするっていう、すごく良く出来てて、かつ必見の作品。素晴らしいです！
補:レビューした作品以外にも、他5作合わせた自選短篇集でした。
他の短篇は、その中でも、トラック荷台の爆風の中で、アピチャッポン監督含む3人の男性(どうやら出身が異なるらしい)が、笑い合いながら、自分の筋肉や刺青を自慢して叫ぶっていう、少しクィア・フィルムらしい「Mobile Men」が一番良かったです。作中には、服に仕込まれたマイクとカメラも見えてて、アピチャッポン監督のフィクション観が分かります。実際、撮影隊を撮影する「Footprints」や「Wildly Desires」などもあり、現実とフィクションの接続も、映画創作に表れてる。
