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日本人の勲章のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

日本人の勲章(1955年製作の映画)
3.0
No.287[日本人の勲章は希望の象徴へ] 60点

アン・フランシスが田舎ガールとして登場するんだが、『禁断の惑星』という禁断の太もも映画で短いスカートから魅惑の太ももを晒していた彼女が、がっちりズボン履いていて終始しかめっ面な上に5秒くらいしか出てこないので、私はその扱いに怒り狂った。というのは置いとくとして、本作品は同じ画面の中にチンピラ役でアーネスト・ボーグナインとリー・マーヴィンがいるという豪華な映画なのだ。対するはスペンサー・トレイシー演じる孤高の鬼強隻腕老軍人マクリーディというジミー・ウォングが好きそうなキャラ。そんな感じで役者の配し方は常時上手かったし、これでトレイシーがカンヌで男優賞を取るのには納得せざるを得ない。

しかし、実際に戦うシーンは数えるほどしかなく、大部分は雄大な自然を背景に後ろめたい男たちが"やべーよやべーよ"と言い合うだけという不思議な西部劇なのだ。もしかしたら日本中の出川哲朗が出演していたのかもしれない。ただ、どうも敵の親玉スミスと唯一の味方である医者以外は存在感が圧倒的に薄いし、その二人ですら人物描写は薄いし、そもそも"やべーよやべーよ"って言ってる割にヤバさが全く伝わってこない。我々はマクリーディと同じ量の情報しか持ってないのに、匂わせで間に神視点からスミスサイドの"やべーよやべーよ"を持ってくるので、終始モヤモヤを抱えることになる。結局確かにヤバかったのだが、それを導入するのは押し負けた若者が一人で白状するという全く盛り上がらない展開であり、そこからマクリーディが闇夜に紛れて脱走するというなんとも微妙な感じに転がり、偶然に偶然が重なって丸く収まってしまう。ヌルすぎる。

そんな感じのヌルい会話劇と性急過ぎたラストであんまり評価する気にはなれないんだが、あのカッコいいトレイシーを拝めたってだけでも良しとしようじゃないか。
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