叡福寺清子

ロニートとエスティ 彼女たちの選択の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

3.6
NYでキャメラマンとして活躍するロニート・クルシュカさんに父親の訃報が届きます.厳格なユダヤ教信仰が支配する故郷への帰郷.父親の病状を知らされていなかった事から,故郷でのロニートさんの評価が伺いしれますし,ロニートさんも歓迎されるとは思っていませんでした.が,今は夫婦となった旧友のドヴィットとエスティさんだけは暖かく迎え入れてくれました.ですが,ロニートとエスティはかつて・・・いや今も深い想いを寄せる同士だったのです.ユダヤ教がその愛を許さないと知っていても・・・
いいですねぇ大人の百合映画.10代の感情むき出しのささくれだった恋愛模様とは違う,しっとらした大人の恋愛模様,しかも百合.心が洗われます.こんばんわ三遊亭呼延灼です.

こういうと各方面からお叱りを受けるやもしれませんが,あたしゃ宗教は人を幸せにする道具と思ってます.ですから,戒律によって人の心が縛られるなんて知らんがな,んな戒律があるなら戒律のほうが間違えていますという立場であります.ユダヤ教が同性愛を禁じるならその戒律が間違えています.それと神様を信仰する気持ちは相反しないでしょう.違うのかしら?

コミュニティにあってはロニートさんもエスティさんも,見せる笑顔はぎこちないものでした.ですが,その地を離れホテルで結ばれた姿は全てから開放されたお姿で,大変素敵でございました,と同時に助平マックスでもございました.助平上等じゃございませんか,それで魂が救済されるなら,助平も報われるってもんですよ(あたしゃ何言ってんっすかね).ロニートさんの行きずり刹那的助平でもなく,エスティさんの毎週金曜日に繰り返される子作り作業としての助平でもない.愛情溢れる助平.こーゆーのは助平冥利につきるってもんでございます.

その助平の先にエスティさんが下した結論.それは結果だけみれば元鞘なのかもしれませんが,与えられたものではなく,エスティさんが選択したものであります.それは全然違いますよね.もしかしたら,将来今度はエスティさんが子供を連れてNYのロニートさんを訪れるかもしれません.だって,父親の墓をフィルムに収めたロニートさんには,故郷に残したものなぞ何もないのですから.

あと後日確認しましたところ,エスティさんってドクター・ストレンジのクリスティーンさんだったのですね.そりゃわからんって.雰囲気全然違うですもの.