ゆめちん

ロニートとエスティ 彼女たちの選択のゆめちんのレビュー・感想・評価

4.0
ロニートとエスティ 彼女たちの選択
 
原題の "disobedience” は "不服従”という意味。ユダヤ教徒のコミュニティというのはどういうものなのか、今まであまり触れることがなかったので、興味を持って鑑賞しました。
 
ユダヤ教指導者の父と信仰を捨て故郷を去り、ニューヨークで活躍するカメラマンのロニート。父の死をきっかけに故郷に戻るも、人々から冷たい視線を浴びる中、幼馴染のドヴィッドとエスティが結婚していたことを知らされる。

作品の中で過去は全く描かれず、ロニートとエスティの会話から、徐々に明かされていく流れ。大都会のロンドンでこれほど自由のない、厳格なコミュニティの掟に支配される女性たちがいたことに驚かされます。

女性同士の恋愛以外にも、鬘の装着や教会の座る位置など、様々なコミュニティの掟に違和感と息苦しさを感じてしまう。
この物語の時代設定が明確でないですが、今も厳格に守られているのか気になるところ。
 
感情や心の揺れをあまり表に出さないものの、そこには秘めた強い意志が感じられるロニート。"服従と不服従" の狭間で葛藤しながらも、様々な感情が溢れ出るエスティ。
そんな複雑に相対する二人を演じる、レイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムスの大胆かつ繊細な演技は見事でした。

そして彼女たちを上手く引き立たせるドヴィッドの存在が、作品に濃厚な深みを与え、幼馴染として夫として見せる、懐の深い実直な姿に胸を打たれました。

ラストの3人の "選択" は、ある意味どれも切ないものの、その想いが共有され、再び心を通わせ抱擁する姿に、少しだけ温かい気持ちになりました。
ゆめちん

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