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ザ・モンスターのマーチのレビュー・感想・評価

ザ・モンスター(2016年製作の映画)
2.7
*多少ネタバレ含みますので、ご注意下さい。


【レビュー👾】

《世にも珍しいエモホラー
〜ダサダサモンスターを添えて〜》

酒乱でクズなアル中の母親が、娘との愛情を取り戻すまでの物語。

「モンスター」を媒介して(モンスターを倒すために母子が共闘することで)、お互いの本当の気持ちを分かり合うという意外にもエモーショナルな内容で、合間合間の気になるポイントさえなければ最後には涙していたと思います。

モンスター自体が母子の鬱屈とした感情の具現化で、ラストの娘のモノローグでそれが明らかになるという多少練られたプロットだったことにも驚きましたが、それよりも何よりも「モンスター」が強烈にダサい…個人的クリーチャーランキングでもかなり下位にランクインですよ! 全く魅力を感じられない、とってもチープなものでした。あと中に人が入っているのがバレバレの動きをするという。笑 是非ともダグ・ジョーンズに仕事を頼んで欲しいですね。笑

また、態々ホラーにする必要があったのかという疑問が残ります。モンスターという1強に対する共闘でなくても本来伝えたかったテーマは伝えられたはずですし、モンスター云々が蛇足になっているとしか思えません。そこのチープささえ排すれば結構いい作品になっていたのではないかと思われるだけに、非常に残念です。

エラ・バレンティーン(子役)の熱演は思いもよらぬ素晴らしいもので、全くの予想外に逸材と出会えた収穫もありましたし、個人的にゾーイ・カザンの鼻👃はやっぱり好みです😘(←変態) 笑
憎まれ口を叩き合う2人の演技のぶつかり合いもなかなかのものでしたし、お互いに愛し合っているからこそ遠ざけ合う関係性の描き方も絶妙で、モンスターを介して双方の固執していたわだかまりの様なものが溶けていく過程を度々挿し込まれる回想とともに表現しているのは効果的で良かったと思います。

ただモンスターの弱点が折角分かったのに、あんな行動しか出来なかった母親はアホです。(←暴言ごめんなさい🙏) いやでも観たら分かってもらえると思いますよ!絶対他に何かやりようがあったはずですから。

ホラー演出的には面白くないまでもそこまで悪くなかっただけに、やはりモンスターの魅力の薄さがどうしても気になってしまいますし、そもそもタイトルに冠するほど強固な意味合いも感じられません。上記しているメタファー的意味合いがあったとしても、ちょっと弱いかな。

結論としては、良作に成り得ただけに、あと一歩の捻りが足りず、非常に勿体無いものになってしまっていると感じた作品でした。


【p.s.】
流れの遅いクレジットを観ていたら出演者はたった8人でしたし、オオカミ🐺役の人とモンスター役の人もしっかりクレジットされていましたよ。笑


【映画情報】
上映時間:89分
2016年/アメリカ🇺🇸
監督・脚本:ブライアン・ベルティノ
出演:ゾーイ・カザン
エラ・バレンティーン 他
概要:深夜の田舎道で事故を起こし、車中
で立ち往生する母娘が、暗闇に潜む
“何か”に襲われる。
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