踊る猫

光の踊る猫のレビュー・感想・評価

(2016年製作の映画)
3.2
あまりこういう言い方は気取りが過ぎるのでしたくないのだが、「3.11」以降の映画を作ろうとする姿勢が見える。愚直に悲劇と向き合い、そこから希望をどう見出すか、あるいは希望などないと居直るか……ジェフ・ミルズの硬質な音楽と大自然のダイナミックな光景はミスマッチのようであり、しかしこの荘厳な音楽によってしか語り得ないのだろうと唸らされるような迫力を以て伝わって来る。だが、点を高く出来ないのは結局この映画が長過ぎることと(場面において展開される無駄な時間があり過ぎなので、それを削れば引き締まった映画になったはず)、彼らが結局何故人殺しに手を染めるのかそれが見えて来ないことだ。プリミティヴな情動に突き動かされてやるから、という身も蓋もない理由で返されたらそれまでなのだけれど……理性ではなくこちらの情に訴え掛ける映画で、その点では見事に成功しているのであとは私と監督の相性の問題なのだろう。
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