クエイ兄弟の短編連作アニメーション“静かな夜”。
1は砂鉄で作り出すアニメーション。カビにも見えるし埃にも見えるし、新種の生物にも見える。珍しいのは砂鉄くらいかと思うのだけど、ローアングルと俯瞰がうまくて見入ってしまった。
二つの小さな部屋はパペットアニメでよく見るアングルなのに、際立って妙な閉塞感を感じさせる。ひとつの部屋は砂鉄がホコリに見え、忘れ去られたであろう閉ざされた空間の時間の経過を感じる。またもうひとつの部屋では人形がいるがなぜとなく幽閉というイメージが湧く。人形の座るテーブルの皿と逆さまに置かれたスプーン、テーブルに侵食する砂鉄。この部屋もまた隣の部屋のように砂鉄に覆われるのだろうか。
あらすじもない、ものの数分の短編であるが、なんとも言い難い緊張感がある。
