塩犬

不能犯の塩犬のレビュー・感想・評価

不能犯(2018年製作の映画)
2.8
話の内容は原作の漫画とどうかは分からないけど、よくある“やってから後悔がある”系の話。純粋な殺意って言い方だけど、どの道結果は同じな感じがして得したやつは一人もいない気もする。そこに物語の本筋があるのかもしれないけど。台詞としては「愚かだねぇ、人間は」っていうのがそのまま物語の核心かと。
大事な台詞なのは分かるけど、毎回言われると少ししつこいかな。あーこれ連続ドラマとかアニメだったらこのあとエンディングテーマ流れるんだろうなぁとか思って白けてしまう。
松坂桃李は2次元が似合いすぎる。あんな奇っ怪な確実に厨二発言連発の闇持ちキャラをこなすってほんとすごいと思う。笑顔の種類を少しずつ変えてるあたりはさすが。“愚かだねぇ、人間は”の台詞は最後の最後で(音響効果の変化もあったけど)言い方を変えてきていて響かせ方を考えた演出になっていていいと思う。表の“狂気”を全面に見せながらも、人を殺す役どころだけどどこかそこに哀しみを感じていて、自分が終わることへの希望を持った複雑な裏の顔を滲ませる好演だった。
デザイナーのお姉さんは鬼気迫る演技に好感もてた。キャラとしては、やや逆恨みチックな感じだったけど、それでも純粋に幸せになりたがってたしもがいていた真摯な役どころを綺麗に激しく演じていた。
安田顕はもっと見たかった、いや、ほんと、もっとさ……(笑)
久しぶりに沢尻エリカの演技を見たけど相変わらず苦手な部類。原作のキャラがどうかは分からないけど、男前にしたいのか美人女性らしい刑事にしたいのか分からない。キャラの種類としては“羊たちの沈黙の主人公”と同じ部類かと思ったけどキャラブレが凄くて好感は得られず。台詞の度に首が座ってなかったり、嗚咽演技がただの喘ぎ声に聞こえるだけだったり、何を受けてのその反応なのか分からない独りよがりな演技に見えてならない。正直、最初のシーンでお腹いっぱい。主人公なのに共感もできないし、進んでいく方向がやや迷子なのは見る側としては困る。
班長?になるのかな、の男性も演技がカチコチである意味2次元臭いけど、悪い意味での言い方になってしまう。
役者の種類も違うってのがあると思うけど、力量の違いも見えてしまうことで物語が薄っぺらく感じる。戦いは続くっぽく終わったけど、続編は見るとしてもレンタルでいいかなぁとか思っちゃう出来。
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