TAK44マグナム

不能犯のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

不能犯(2018年製作の映画)
3.4
犯行を証明できない犯罪者。
その者、不能犯。


松坂桃李が心を操る殺し屋を不気味に演じるサスペンス・スリラー。 
コミックが原作ですが、多少かじった程度であまり深くは知りません。
監督は日本ホラー界の雄、白石晃士。
とにかく現代的な不穏さを醸し出すのが巧い監督さんだと思います。


原作だと心理テクニックを駆使して相手の行動を操る能力だと思いましたが、この映画版ですと演出が超能力モノのそれでありまして、心理テクニックもそうなのでしょうが、松坂桃李の目が妖しく光ると催眠術にかかったようになってしまいます。
原作もこんな感じだったかな?
コミックと比べると余計に超能力のように感じましたが・・・
まぁ、これはこれで非常にわかりやすい描写で良いでしょう。
いちいちニヤける松坂桃李もキモくて宜しいかと(苦笑)

松坂桃李を追う女性刑事役が沢尻エリカ。
例の事件でアヤがついてしまいましたが、基本的に男の上にたつ女性役が合っていますし、演技力も確かなので本当にもったいない。個人的には好みではありませんが美人さんですしね。
本作は部下に新人の男性刑事(新田真剣佑)を持つ役なのがハマっていました。
その新人が退場せざる負えなくなった後に新しくコンビを組んだ刑事役が「テラスハウス」で事件を起こしたりした哲ちゃんだったのでビックリ。
頑張って役者を続けていたんですなぁ。
しかし、事件起こした俳優さんが多いな、この映画(汗)
そういえば、矢田亜希子も元旦那が・・(以下、省略)


本作は、いくつかのエピソードから成り立っていて、それぞれが有機的に絡むわけではないのでオムニバス的な作りともいえます。
一応、大きな事件が全体を覆うようになってはいるのですが、それもほぼクライマックスに集中しているので、個々のエピソードはあくまでもバラバラな感じに映ります。
各エピソードをつなぐ要素は松坂桃李だけ。
なので、一本の映画として見るとまとまりがないと感じる方もいるのではないでしょうか


エピソードの中では、奥さんが乱暴された旦那の話がスピード感のあるカオスな展開で好みでした。
本当、メチャ酷い話(苦笑)
怪しさ全開の小林稔侍がイライラさせてくれて最高でした。
あと真野恵里菜が好きなので、彼女がホテトル嬢役というエピソードも興奮しかけましたが、特にエロい描写は無かったので加点ナシです(苦笑)


クライマックスに用意された事件は確かに他のものと比べると規模が大きくはありますが、映画的なスケール感を捻出するための苦肉の策なのでは。
何だか、その苦労が偲ばれます。
一応、「人を信じること」というテーマに沿っているのでこれはこれで良いですし、松坂桃李を結果的に「ヒーロー役」に落とし込めているので映画としての体裁をうまく保っているとも言えます。


全体的に無難な出来映えで、松坂桃李のファンなら「悪のヒーロー」という役柄もそうそうあるものではないし、観る価値は大いにあると思いますよ。
シンケンレッドも、汚れ役が似合う、邦画に欠かせない俳優さんになられたんですね。
感慨深い。


NETFLIXにて