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先生! 、、、好きになってもいいですか?のSyoCINEMAのレビュー・感想・評価

4.1
滅茶苦茶良くてびっくりした。広瀬すずちゃんの今しか見られない表情が余すところなく収められていて、そういう意味でも永久保存版だと思う。「怒り」以降の彼女は、頭一つ抜けている。

しかしこの作品、よく考えれば実に周到な座組みだ。日本の若手女優で断トツの演技力をほこる広瀬すずの初ラブストーリー、相手役はジャニーズきっての演技派・生田斗真。監督は青春恋愛映画の魔術師・三木孝浩。脚本は「あの花」の岡田麿里。原作は敢えての「先生!」と役者に合ったしっとりした作品をチョイス。しっかりと練られた、なんとも隙のない企画だ。これは企画勝ちだと思う。売れてる漫画に旬の俳優をポーンと放り込んだキラキラ映画とはモノが違う。熟考された上でのメンツだ。

勿論、竜星涼くんや森川葵ちゃんのパートはキラキラしてて苦手な方は苦手なんだろうけど、そこは三木監督。日常の地続きに溶け込ませるのが非常に上手い。個人的に「君の名は。」を日本で実写化するなら彼にやってほしい。新海誠作品との相性、絶対いいと思う。

そして本作の肝は、生田くんをして「史上最も可愛い広瀬すずが見られる」と言わしめたすずちゃんの演技だ。
彼女の素晴らしさの1つは、リアクションの演技にある。相手役からセリフを受けた際の反応が、抜群に上手い。是非今度、「怒り」や「海街diary」、「三度目の殺人」の彼女を見てほしい。いわゆる「受けの演技」がずば抜けている。
これはすなわち、空気を作れる女優さんだということだ。彼女は喋らなくても場の空気に溶け込めるばかりか、「空気で演じる」ことができる。
本作では、そんなすずちゃんの特性がフルに発揮されている。生田くん演じる伊藤先生の一挙手一投足に反応する彼女の演技は、驚くほど「素」だ。そしてまた、生まれて初めて芽生えた恋心に対する戸惑いや照れ、高揚感などがセリフなしに伝わって来る。

ただ、すずちゃんはうますぎる結果、主演になるには作品を選ぶ女優さんなのかもしれないとも思う。「ちはやふる」の千早のように全身でパワフルなキャラなら良いかもしれないけど、彼女は演技が繊細すぎる故に、大人しい印象を与えてしまうのだ。
でも、今回はそれが完全にハマった形。本来ヒロインになるには慎ましやかすぎるキャラクターを、同じように慎ましい演技を得意とするすずちゃんが演じることで、びっくりするほどシンクロしている。
さらに、そこをサポートするのは百戦錬磨の生田くんだ。「彼らが本気で編むときは、」で圧巻の演技を見せた彼は、本作でも味わい深い演技を披露。寡黙なキャラだけに纏う空気や目線で伝えなくてはならないけど、本当に見事に伊藤先生の苦悩を表現していた。

ストーリーも、先生と生徒の関係性の変化を、じれったいくらい丁寧に描いている。教師同士で恋愛しすぎだろとか美術教師のキャラなんとかならんかったんかお局かよとかある、あるけども!それは恋愛漫画のお約束なので大目に見つつ、ヒロインと先生の関係性に絞れば、なんともピュアで切ない、しかも「許されない恋」ということを丁寧に丁寧に綴った作品だった。SNSで醜聞が拡散していく演出、あの独特の苦味は岡田麿里さんらしい仕掛けだし、ヒロイン側の視点にも、先生側の視点にも立つことができるように最新の注意が払われており、「●とJ●」のような「おいどういうことだポリスメン!」みたいな頭を抱えることにならないよう、気が配られている。

長くなってしまったけど、一言で言うと「広瀬すずが死ぬほど可愛いから見てくれ」になる。これは、もう、すごいぞ。

映画というのは、俳優の最も良い瞬間を瞬間冷凍するものだと思うけど、間違いなく「史上最も可愛い広瀬すず」が本作にはきっちりと収められている。あ、これって生田くんと同じだ。
それだけで、「ありがたやありがたや」と手を合わせたくなる出来だけど、やっぱり周到に練られた企画というのが、本作の質が抜群に高い理由なんだろうな。
漫画原作の恋愛映画は苦手!という人にこそ、「こんなにすごいぞ」と見せたくなる、そんな映画だった。

本当に良かったから、ソフトが出たらもう一度見たい。自分は既婚だけども、滅茶苦茶恋がしたくなった。