ユンファ

I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザーのユンファのレビュー・感想・評価

4.0
まだ彼がセレブレーションに参加していた頃、会場で一度会ったことがある。
何故か彼のブースには人影がなく、ダルそうにサインペンを弄っていた。恐る恐る近づき、拙い英語で声をかける。
僕の中で彼は紛れもなく英雄、いや神であり、人生で最も緊張した瞬間だった。
レッドカーペットを行くスターのような親しみやすさは感じられず、態度は素っ気なく、サインも嫌々やっているような印象で、かなりショックを受けた。
本当は話したいことが山ほどあるのに上手く言葉に出来ず、早くどっか行けよオーラに耐えきれなくなった僕は、無言で右手を差し出した。
数秒の間の後、彼はほんの一瞬だけ僕の手を握ってくれた。
彼は最後まで微笑むことすらなかったけれど、映画史上最強最悪最高のヴィランであるダース・ベイダーに触れられたことは、僕の一生の誇りだ。

「アイ・アム・ユア・ファーザー」において、デヴィッド・プラウズは自分こそがベイダーだと主張する。
ルーカスを含むスタッフとの確執も語られるが、デヴィッドに全く非がなかったとは考え難い。
コアなスター・ウォーズファンは、多くのインタビューやメイキング等に目を通していると思うが、総合的に判断して、デヴィッドの主張が全て正しいとはとても思えない。(彼が口を滑らせることが多いのは紛れもない事実だ)
僕にとっては、デヴィッド・プラウズもジェームズ・アール・ジョーンズもセバスチャン・ショウもヘイデン・クリステンセンも、全員がダース・ベイダーだ。
デヴィッドがイベントに呼ばれなくなっても、その事実は揺るがない。
どんなに態度が悪かろうが、ルーカスが何と言おうが、ファンにとってデヴィッドは神だ。

2017年末、デヴィッドは健康上の理由から引退を表明した。
もしもまたいつか彼に会えたら、神に触れたことを誇りに生きている人間がここにいることを伝えたい。
自分が思っている以上に、あなたは多くの人を救い、支えになっているのだと。
こんなドキュメンタリーがなくても、みんなあなたが大好きだと。
ありがとう。本当にお疲れ様でした。
ユンファ

ユンファ