せんきち

呪われし家に咲く一輪の花のせんきちのレビュー・感想・評価

呪われし家に咲く一輪の花(2016年製作の映画)
4.0
Netflixオリジナル映画。とんだ拾いもの。凄え怖いし美しい。


介護士リリーはホラー小説家アイリス・ブラムの家で住み込みで働くことになった。2人しかいない家。ボケたブラムはリリーをポリーと呼ぶ。ポリーとは誰か。その家には秘密があった...



監督はオスグッド・パーキンス(アンソニー・パーキンスの息子だって!)。本当に珍しいソリッドなホラー。所謂、「幽霊屋敷」ものなんだけど本当に何も起こらない。霊はいるんだけど主人公を襲ったりしない。ただ、居るだけなのに怖い。つか霊がいないシーンだって怖い。何故か、本作全体が不穏で呪われてる感じがするからだ。


凄いと思ったのがOP。美しい詩の様な朗読の後、ブラム邸に入るリリー。リリーは屋敷に入ってある一点を見続ける。それは完全にカメラ目線で明らかにリリーは観客である私達を観ている。何故!?この時点で不穏さ大爆発。これ霊じゃなくて観測者そのものが怖いやつ!ひーーーー!


本編を観終わるとOPがラストと完全にリンクしており、不穏さの正体も分かるのだが脚本、演出が非常に上手い。本作が目指してたのは『たたり』『回転』等の古典ホラーだ。霊が襲ってきて怖いではなく霊を観る観測者そのものが怖いという非常に高度なホラー。主要なキャラが4人しかいない低予算だからこそ出来た野心的な作品だ。劇場で観たかったけど、これ劇場だったら絶対企画通らないだろう。


観る時は必ず部屋を真っ暗にして観ること。明るい部屋で観ると怖さ半減します。

しかし、霊が腐り朽ちていくという概念は新しく非常に怖い。
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