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マン・ダウン 戦士の約束のundoのレビュー・感想・評価

マン・ダウン 戦士の約束(2015年製作の映画)
3.8
崩れた、世界。

レイトショーで鑑賞。
過去に何度か書いていますが、私はレイトショーのだらだらした雰囲気が好きで、特に休日前に観る時の至福感は最高。
映画館側もレイトに合う作品をチョイスしてくれているような気がするので幸せ倍増です。
本作も重たいな内容ながら、深く考えさせられる良作。映画としてのケレン味もあって良かったです。

家族を愛する、とある米軍兵士の男の物語。
彼には、美しい妻と最愛の息子がいて、軍人として国を守る誇りもある。厳しい訓練を共に乗り越えてきた大切な友人もいる。
ある意味理想的なアメリカ人の姿とも言えそうな彼。

しかし、戦地から戻った彼が直面したのは、崩れかけた建物が立ち並び、人の住む気配もない荒廃した世界だった。
頼れるものは自分と、共に帰還した友人のデビンだけ。
愛する家族はどこに消えたのか…。


恐らく低予算ながら、実力派俳優達の演技と難しいテーマながら説得力をもたせるストーリーで骨太の作品に仕上がっている。それにしてもゲイリー・オールドマンをスクリーンで観たのは『レオン』以来かもしれない(←いつの話⁉︎)。

世界の警察たらんとするアメリカの、一種のタブーに踏み込んだテーマは評価できる。まさに火薬くさい昨今の世界の状況と照らし合わせて見ても、意義のある作品といえそう。
いくら訓練を積んだ屈強な兵士といえども、超人にはなれない。むしろ、強くあろうとすることで、弱点がより脆くなっている面もあるのかもしれない。

どんな映画でも、それまでとは明らかに空気が変わり、監督が何かを仕掛けてきていると気づいた瞬間は、ゾクゾクする。
本作はミステリーではない(広義ではそう言えるかも)けれど、その点でも良かったなと。中盤にある細かいミスリードも効果的で上手いと思った。

崩れかけた世界の中で、約束は果たされるのか。
家族への愛情は、いつの時も心を揺さぶり続ける。
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