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カーズ/クロスロードのNARUのレビュー・感想・評価

カーズ/クロスロード(2017年製作の映画)
4.5
生きていれば必ず、進路を選ばなければならない。
その選択により、人生は幸福にも不幸にも成り得る。
選んだ道の先に絶望という文字が見えても、走り続ける者も居るだろう。
止まれば道は閉ざされ、だだ闇雲に進んでも更なる絶望へ沈むだけかもしれない。
しかし、忘れてはならないのは、人は選択肢を増やすことができるということである。
それは友人との会話で見つかるかもしれない。人生の先輩や恋人からの助言、あるいは自分の中のヒーロー像が、思わぬ道の地図を示すかもしれない。
選択肢が多ければ多い人ほど、幸福への道も開かれる。
そして、最後に進むべき道を決断できるのは自分だけなのである。

…かつて天才若手レーシングカーと呼ばれたライトニング・マックィーンにも、“クロスロード”…つまり、人生の分岐点が訪れる。
『カーズ』で、描かれたマックィーンの自尊心は、時代錯誤によって打ち砕かれ、敗北や 辛辣な言葉となって追い討ちを喰らう。
しかし、自尊心との葛藤や、他人の人生に触れることで、マックィーンは再び成長する。
仲間たちの存在の大きさや、人生を長く生きた者の言葉など、人生に必要な教訓を、美しく、残酷に、力強く描いているからこそ、本作は大人に観て頂きたい作品。
多くの映画を観ていると、想像できる結末かもしれない。しかし、マックィーンが“この選択”をしたことを、劇場で見届けられたことは、自分にとって幸甚に値し、今後の人生の分岐点の一つとなって生き続けるでしょう。
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