シネマスナイパーF

カーズ/クロスロードのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

カーズ/クロスロード(2017年製作の映画)
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作り手たちが如何にライトニング・マックィーンという車を愛しているのかが本当に透けて見える


1作目では同じことをして勝利したオープニングでのレースで、今回は盛大にクラッシュさせることで、非常に分かりやすくハッキリと「もうこいつは若くない」と実感するのに、それでも彼は彼らしく根拠のない自信で頑張ろうとするんだよぉ〜もう若くなくて車体にガタがきてるのに

かつて、若さ故の奢りを克服した彼は、自分の勝利に拘らず、文字通り「クラッシュしてしまったベテランの背中を押す」という行動に出ました
とうとう「クラッシュしたベテラン」となってしまった彼は、何を思いどう行動するのか


本作は、主軸であるそんなマックィーンのエピソードと並行して、あるもうひとつのストーリーが進行していて、それが負け犬ストーリーとしてクライマックスに向かうに連れマックィーンの話とシンクロして昇華されていくのですがそれが見事
中盤紛れ込むクレイジー・エイトでは、泥やコースでもうゴチャゴチャになりながらも同時に二つのストーリーがひとつにまとまるきっかけにもなるんだから見せ場として面白いうえに場面の役割が物語的に意味を持っていて唸るばかり

劇中マックィーンが、「ドックのために勝つ」と言っていました
彼には若いレーサーたちと違い、砂浜や泥で走るスキルを見れば明らかな通り決定的な経験の違いがあるわけですが、そこに溺れていると同時に、伝授してくれた師に対しての尊敬もありますね
でもやっぱり彼にとってそれは少なからず重荷として伸し掛かっていると思うんですよ、虚勢張りつつも!
そんな彼が最後に選ぶ選択と、あるキャラクターに与えるチャンス…これ、世代交代という「継承」の物語の結末として!Fabulous!


友情、夢、継承、全部楽しめちゃうあたりピクサー流石スゲエし、なにより自分たちの生み出したキャラクターへの引導の渡し方が美しいです
ジョン・ラセターさんの思い入れが強い(らしい)シリーズとして、新人監督に任せつつ、非常に綺麗に幕引きできたのではないでしょうか
個人的にはモンスターズ・ユニバーシティに次いで好きなピクサー作品になりました

トイストーリー4は絶対に観たくねぇとは思いますが、エンドクレジットでウォーリーの作中の架空会社のエンブレムが出てきたときはフフッとなりましたよ