永瀬正敏さんにこのような役をやらせると、本当に嵌りますね。
視力を失うことの恐怖、できないことの焦りをお節介とする苛立ち、本質を見抜く鋭さと自分に対する鈍感さ、微妙な感情の機微が見ている側に「おまえにも覚えがあるだろ」と言うような迫力で迫ってきます。
この監督は、このような矛盾する人の感情を伝えるのが本当にうまいと思います。
主題の音声ガイドの脚本と手がける主人公は、手探りで的確な表現力と言葉を獲得していく。
その過程で、映画を鑑賞する力量が高まり、作品の持つ精神性を理解していくようになります。
そうして、出来上がった音声ガイドの樹木希林さんは素敵ですし、劇中劇も良い流れで進んでいきます。
音声ガイドが劇中劇に深みを与えていく、、、。
そうして、この映画の中で、誰もが息を吞んで、期待した最後が、あれですか？
監督さん「ミイラ取りがミイラになる」ですよ。
この監督のラストだけは、どうしても好きになれないようです。
