kaorui

光のkaoruiのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.5
僕は映画を観るとき、どんなに悲惨な題材でも、希望のかけらを探してしまう。
希望を見失いそうになったとき、何度となく映画に救われたから。暗くて狭い小屋の片隅で、とりあえず明日やってみるか、小さな勇気をもらえたものだ。
主人公が藤竜也扮する映画監督に、希望が必要なんです、と監督自らに説く場面にぐっときた。僭越やなー、とハラハラするのだが、藤は受け入れる。映画を信じる人がここに一人いることに嬉しそうですらある。良いシーンだ。
希望と絶望、正義と悪、様々な境界が曖昧になり混沌としてきた昨今、ありのままに現実を描き、観客に委ねる作品が増えてきた。この作品は、そうはしないのだ。

飛鳥の神々の棲む山並みの俯瞰に葉擦れの音、虫の声を積み重ね、最後にワンショットで表現する。一言で、一文字で提示する。
いちばんそれを届けたい人への祈りなのだ。
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