音声ガイドで映画を観ている人が居ると言う事を知らず、掴みはかなり印象的でした。
映画から映像を取り払うと言う事は、本作で重要なキーワード「大切な物を捨てる」と通じ、大きな流れになって様々な物事が理解でき、明かされる感覚はスゴいです。
眼がクローズアップされるカットが多いのですが、眼で演技する俳優陣の凄さにかなり驚かされました。眼ってこんなに表情を持つものなんですね。
劇中の音に関しても、綺麗な音声のみでは無く雑踏や森の音など声以外の部分が多く含まれていて、雑音が入れば声が聞き取りずらくなり、余計にセリフと絵に集中してしまう。
寄った絵が多い本作では視覚的な情報を絞って音の情報に比重をかけており、相乗効果で不安や、か細い思いを感じるシーンにバツグンにハマっています。
でもその分、同じサイズの絵が多く単調さが有って諸刃の剣感が有りました。
ストーリーの大きな流れは普通。総合的な映像表現に力を入れていますが、先が読めるし、感動は薄い。
説明しない部分や心情を語ったりしない、凄く映画的な作品なのですが、女性監督ならではの繊細さが良く生きていると思います。ガツンとくる様な感情的なドラマでは無く、じわじわと滲む感覚に近いです。
僕はガサツな男なのでシーンの意味や些細な仕草を取りこぼしてしまうので、女性の方ならきっとより楽しめると思います。オススメです。
