KnightsofOdessa

光のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.0
[私に見えるのは光ではなく顔] 60点

初河瀨直美。初長編『萌の朱雀』でカメラドールを受賞して以降幾度となくカンヌ映画祭に登場して私の行く手を阻む天敵だが、グズグズしているといつまで経っても終わらないので漸く重い腰を上げることにした。視覚障碍者のために音声字幕を付ける女性と光を失いつつあるカメラマンを中心に想像と創造についてを描いていく話であるが、その表現手法は微妙に滑っているというかなんというか。取り敢えず一番ダサいのはカメラが仲間に盗まれるくだりで"カメラは心臓なんだ"→山で投げ捨てる一連のシーンか。"映画って誰かの人生と繋がることじゃない?"とか"生きたいと思っても死んじゃうこともあるし、死にたいと思っても生かされることもある"に代表される薄っぺらいセリフにも虫酸が走る。映画内映画のラストを映画のラストにするのもダサい。が、題材としては目の付け所は悪くない気がする。水崎綾女も可愛いし(彼女のおかげで割と悪くはないのか?と錯覚しているが、時間が経てばその感覚も薄くなっていくだろう)。

単純な疑問だが、むちゃくちゃ喋る映画とかさっぱり解説不能な映画ってやっぱり文字情報にはし難いから視覚障碍者用音声字幕が付いてる映画も限られてくるんだろうな。

と思いつつ、2019年のコンペにトリエの超絶駄作が並んでやーやー言われてるけど、2017年のコンペの傑出した作品の少なさは異常でしょうと勝手に思った次第。『A Gentle Creature』『BPM』くらいか。
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