光の作品情報・感想・評価

2017年製作の映画)

上映日:2017年05月27日

製作国:

上映時間:102分

3.8

あらすじ

単調な⽇々を送っていた美佐⼦(⽔崎綾⼥)は、情景を⾔葉で説明する、視覚障碍者向けの映画の⾳声ガイドの仕事をきっかけに、弱視の天才カメラマン・雅哉(永瀬正敏)と出逢う。美佐⼦は雅哉の無愛想な態度に苛⽴ちながらも、彼が撮影した⼣⽇の写真に⼼を突き動かされ、いつかこの場所に連れて⾏って欲しいと願うようになる。命よりも⼤事なカメラを前にしながら、次第に視⼒を奪われてゆく雅哉。彼と過ごすうちに、美佐⼦の中…

単調な⽇々を送っていた美佐⼦(⽔崎綾⼥)は、情景を⾔葉で説明する、視覚障碍者向けの映画の⾳声ガイドの仕事をきっかけに、弱視の天才カメラマン・雅哉(永瀬正敏)と出逢う。美佐⼦は雅哉の無愛想な態度に苛⽴ちながらも、彼が撮影した⼣⽇の写真に⼼を突き動かされ、いつかこの場所に連れて⾏って欲しいと願うようになる。命よりも⼤事なカメラを前にしながら、次第に視⼒を奪われてゆく雅哉。彼と過ごすうちに、美佐⼦の中の何かが変わり始めるーー。

「光」に投稿された感想・評価

2017年6月4日土曜日
新宿バルト9
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.3
【弱視から観る光】
映画を評価する上で最もやってはいけないことは、クリエイターの人格否定から作品を評価すること。近年ベルトルッチやワインスタインのセクハラ問題で、今まで皆が褒めていた作品までもが手の裏返したように酷評されているのを受け、私は気をつけなければと思う。

しかし、この世には私をダークサイドに陥れようとする監督がいる。その名は河瀬直美。日本では映画芸術派の人々や前田有一から嫌われているが、フランスでは誰もが知っており評価されている女性監督。

私は、河瀬直美の外国かぶれ感がめちゃくちゃ嫌いだ。フランスで活躍している自分が好き感漂うナルシズム、こう撮ればフランス人にウケるだろうと映画を撮るあざとさ、そして「まだ日本で消耗しているの?」と言わんばかりのオーラや目つきが苦手だ。だから、このヘイトの気持ちが作品評価に繋がらないようにいつも慎重に彼女の作品を評価している。

今回、『光』を観てみたので、頑張って評価してみる。

映画の音声ガイドを作っている女とカメラマンの交流(宣伝ではラブストーリーと謳われていたが、恋愛描写皆無)を描いている。まず、映画史100年以上ある中で、このまだ誰も描いたことのないテーマを見つけ出した河瀬直美は大いに評価できる。そして、弱視、盲目の人にフォーカスを当てているからこそ力を入れている「光」描写は非常に効果的だ。永瀬正敏の、本当に目の見えない人に見える、死んだ目の動きはホンモノに限りなく近い。

ただ、やはり厳しいところも多かった。確かに映画の音声ガイドを作る話ではあるが、映画の中で映画論を語るのは説教臭さが増すからやめて頂きたい。「私は映画のエンディングは希望を持たせないといけないと思ってます」なんて言わなくても、普通に希望あるエンディング描けばいいじゃん。

また『七夜待』同様、何故か彼女の映画はデリケートゾーンに土足で足を踏み入れる癖がある。本作は、弱視になりカメラマンとしての手足が失われた男と音声ガイド制作者の女が喧嘩しているのだが、ある瞬間からその女は男の家に上がり込み、プライベートを貪欲に知っていく。確かに、何故カメラマンは偏屈になってしまったかは気になるが、間合いを詰めるスピードが早すぎる気がする。可愛さ(水崎綾女は可愛い)を武器に無礼な程プライベートに入っていく様子はやはり嫌悪感を抱いてしまう。

映画において無礼な行為を描くことは、物語を進める重要なパーツである。しかし、どうも河瀬直美映画は私の不快になるポイントを突いてくる。ただ、その気持ちってやはり河瀬直美ヘイトの気持ちからも少なからず来ているような気がする。

だから、できれば私は河瀬直美映画を「河瀬直美映画」と知らない状態で、純粋な状態で観たい。それでもヘイトが溜まるようだったら、それはホンモノの私に合わない映画と言えるだろう。

『あん』と比べると、物語と特殊な人々とのバランスが取れているので、人には十分オススメできる作品と言えよう。
色々思うところがあって、ズッシリと心に残りました。

ー人と交わることの意味
ー「伝えること」は「伝わること」ではないこと
ー言葉は器用で不器用な存在だということ
ー失うことは終わりではないこと

観客も逃げられない、そんな力強さのある作品でした。
進撃の巨人に水崎綾女が出ていた事は忘れよう!
ひでG

ひでGの感想・評価

4.2
素晴らしい!!

河瀬監督の最高作!
いろんな融合がびたりと集約され、極めてクオリティが高い作品だ!

公開時に観たかったけど、DVDで2度続けて観れたので、細かく、丁寧な仕上げの部分がより分かれて良かった!

恥ずかしながら、映画の音声ガイドについて立ち止まって考えたことは一度もなかった。
まして、それをこのように時間と手間をかけて作っている人たちがいることも初めて知った。

主演の二人がとにかく素晴らしい!
「あん」の時も大絶賛!だった永瀬正敏、
今回も凄いっす!
上手な人だから、改めてほめるのもなあ、って思われてる感じがするけと、
この作品で賞をあげてほしい!
もっともっとほめてあげてほしい。

目の動き【正確に言うと目の動かなさ】、
目線の不確かさ、などきめ細かい演技!

もう一人の主役、美佐子を演じた水崎綾女
全く知らない女優さん、
でも、素晴らしい!
仕事上で厳しいことを言われて思わず涙が溢れる場面、
中森の部屋で光を浴びる美佐子、

ふっと見せる表情の中にきらめきを、輝きを持った女優さんである。

さて、本作、永瀬正敏演じる弱視の元カメラマンと音声ガイドを付ける水崎綾女演じる美佐子との恋を描いているのだか、

単純にハンディを持つものと支えるものとの恋物語ではない。
私たちが見慣れてきた甘いストーリー展開ではない。

極めて厳しい、辛い。
でもだからこそ、乗り越えようとする人たちに心から寄り添える映画だと思う。

美佐子の音声ガイドが冒頭流れる。
そのことに無知な私たちは
「へえ、ガイドってこーゆーんだ。大切な仕事だな、美佐子頑張っるな」て思う。

でも、それは全く違う!って、全否定されてしまう!

「障害を持った人のため?」
それは持たざるものの押し付けじゃないのか?

中森はある美佐子の行動に
「あんた、向いてないよ、この仕事!」て切り捨てる。

無知な私たちが「いい音声ガイドだ。」と思った美佐子のラストシーンにあてた言葉が、実は映画を、聴覚障がい者を傷つけていたとは!

何というシビアな仕事なんだ!

美佐子が本当にこの仕事の、障害を持つ、
「大切なものを捨てなくてはいけない人たち」の苦しみや絶望に近付けたのは、

彼女自身も、
「大切なものを捨てなくてはならない存在」として生きていることを自覚できたからなのだ。

この映画の素晴らしさ、凄さは、
それらのことをラストのたった一言に
全て集約しているところだ。

彼女がガイドしている映画の中の
「大切なものを捨てなくてはいけない人たち」とも見事にリンクしていて、
何重にも重なる二重、三重の構造を見てている。

最後の一言に、涙と鳥肌が同時に起きたのだ!

もう一つだけ、この映画の素晴らしさにお付き合いしてください。

河瀬監督作では、自然描写がよく出てくる。「あん」もそうだった。
それが人物の心情をそこはかとなく語っているのだが、
今回のカメラは、それ自体も主役として語るのだ。

二人が見つめ合う間の光

母と美佐子の背中に光

中森の視覚が風景に変わっていく、等等

明らかな、はっきりとした主張をしている描写の数々。何と綺麗で、切ないことか!

素敵な映画と出逢えたこと幸せをまた感じることができました。

ありがとう!
時折目を閉じて声に物音に耳を傾けた。
koya

koyaの感想・評価

4.0
河瀨直美監督の映画はいつも奈良が舞台となるのですが、これまでだったら奈良の山々の緑を強調していたのに、今回は奈良といっても駅近くだったり、奈良ならではの色をうすくしていると思います。

そして、登場人物たちの顔のアップの連続。
目だけのアップ、髪を映さず顔だけのアップ・・・アップの多い映画は疲れてしまうのですが、この映画は「目が見えない」「目が見えなくなる」といった光を失う目というのが描かれるものなので、目の動き、目の演技・・・笑ったり、変な顔したり、美男美女というのをすっとばして「目だけ」

河瀨直美監督がつきつけるものはいつも真面目で、厳しい。
この映画もとても厳しい。観る者を甘やかしたりしていないですよね。
sawaD

sawaDの感想・評価

3.8
今や当たり前に利用してる吹き替えや字幕も、「外国語が使えない」人にとってのガイドサービス。盲目の人だけでなく、あらゆるバリアフリーに向き合う人達の戸惑いが含まれた作品。

間や空気感を言葉にする難しさ。懸命に絞り出した言葉を無い方が良いと言われてしまう苦しさ。胸が痛いシーンが多いからこそ、最後の「光」に救われた。
Kinakosan

Kinakosanの感想・評価

3.8
この映画を見て感じたこと。

目が見えなくなることの恐怖。
目が見えることで、欠ける想像力。
言葉で伝えることへの挑戦。
想像力は優しさ。
してあげているという思いあがり。
触れることの重要さ。

河瀬監督の作品には、いつもドキュメンタリーのような、静かで淡々とした空気感がある。すぐそこで起きていることのように感じさせるのは、すごいなぁと思います。

改めて映画っていいなあ、と思った。
表現されたものは、色々な捉えられ方で見た人の人生と繋がる

"目の前から消えてしまうものほど美しい"
ほんとそうな
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