ちろる

特捜部Q Pからのメッセージのちろるのレビュー・感想・評価

特捜部Q Pからのメッセージ(2016年製作の映画)
3.9
とある海辺に漂着した古びた瓶に入ったメッセージには「助けて」の文字、消えかけた『P』の頭文字を手がかりに再び捜査を始めるカールとアサドの物語第三弾。

過去の誘拐事件と原作の誘拐事件に「エホバの証人」を絡めた宗教的な観念が捜査の足枷となる。
現在の行方不明の有無をめぐり、タイムリミットが迫る中で根底にある「悪」の存在を突き止めなければいけないかなり危険なミッションに緊張感がずっと抜けない!
前作の事件で心に深い傷を追ったカールが立ち直る間も無く始まる捜査、もう前回ほどに動き回るエネルギーすらないが、簡単に消えるはずもない正義感とアサドの頑張りに徐々にらしさを取り戻し、天才的な推理で事件解決に導く展開はバディものとして更に見応えがある。
ただ、かなり今回も、2人の単独行動が度を越えすぎてかなり危険だった・・・

「宗教感」が絡む事により行方不明であろう子供たちの両親からすら協力がなかなか得られず、更に捜査が混乱する。
無宗教のカール、イスラム教のアサド、そして事件に絡むエホバの証人やキリスト教などそれぞれの価値観が少しずつ絡み合うその描き方もうまく、イスラム教だと拒絶された相手に対しても、最後まで誠意を見せたアサドの姿勢には泣かされます。
一点だけしっくりこなかったのは犯人の目的や動機が納得いかなかった点。
知能犯というよりは歪んだ感情で犯罪行為を繰り返すその姿に人間の持つ果てしない闇を感じずにはいられません。
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