亘

gifted/ギフテッドの亘のレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.1
フロリダの小さな町に住むメアリーは7歳にして難問をすらすら解く天才少女。ある日祖母が彼女に英才教育を施そうとするが育ての親フランクが拒否、2人の争いは裁判沙汰に。彼にはメアリーを普通の学校に通わせる理由があった。

"gifted(天賦の才能)"を持った子供メアリーを巡り、"子供らしさ"、"子供の幸せ"を問う作品。子供は子供らしくあるべきなのか?それとも才能を伸ばすことに特化した方が名誉を得られて社会全体のためになって良いのか? 大人たちの議論は当事者メアリーをすっ飛ばして進められる。

アメリカにはgiftedの子供を伸ばす教育制度がある。giftedの子供たちが"普通"の学校へ行くとその才能を持て余し、ゆくゆくは社会に機会損失が起こるかもしれないからだ。メアリーの学校の先生たちは特別な学校へ行くことを提案するがフランクは拒否。そしてフランクの母でメアリーの祖母エブリンは強引に転校を試みる。

初めは多くを語らなかったフランクだったが次第に普通の学校に固執する理由を明らかにする。その理由に一家の歴史、そしてgiftedの才能を持ちながら自殺した天才数学者ディアナ・アドラーの遺志が絡む。この謎でストーリーに奥行きが出るし、本当にgiftedの子供を普通の子供と隔離することが社会のためなのか、考えさせられる。

giftedの子供を伸ばすのは名誉とか社会のためだから。だからフランクと対立する側はどうしてもメアリーを道具のように扱っているように見える。かといってメアリーの才能は有望だし伸ばすべきかもしれない。互いを尊重した結末は爽やかだったしメアリーの笑顔は見ていて嬉しかった。

印象に残ったシーン:メアリーが難問に答えるシーン。メアリーが他の子を殴るシーン。フランクがメアリーを病院へ連れていくシーン。フランクがメアリーに謝るシーン。メアリーが満面の笑顔のラストシーン。
亘