逆ベンジャミンバトンかと予想した矢先,生まれながらに英才の少女が織り成す父親との優美な物語だった。天才ゆえの孤独感が少女の周囲に漂いそれを見守るオトナ側の視線が中心に描かれる。正義心や道徳心が選択と結果の中では繰り返し登場しアイデンティティの模索を常に必要とされる時代。娘の才能を閉じ込めやり過ごす父親の姿勢と周囲の擦れ違う意見も現状の社会問題に通底したものなのだろうと。ストーリーは"普通の幸福"をベースに課しながらも家族の形を現実的な日常を通して映し出し暖かい関係性と共に噛み締めがいがある秀作だった。
