自らの誕生とほぼ同時期に母親を亡くした、7歳の天才的な頭脳を持つ少女メアリー(マッケンナ・グレイス)は、独身の叔父フランク(クリス・エヴァンス)とフロリダの田舎町でささやかながら幸せな日々を送っていた。
しかし、入学先の小学校でメアリーの才能が明らかになると、今までの静かな暮らしに波が立ち始める。
そんな中フランクの母エブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を受けさせようと2人を離れさせることを図り...。
幸せって一体何なんだろう。
人生って一体何なんだろう。
自分って一体何なんだろう。
一 偉業を成し遂げる 一
これは“幸せ”にも成り得たり、“人生”に意味をもたらしたり、“自分”に価値を付加させることにもなる。
その所謂“偉業”を成し遂げられる人々の多くは、何か特殊な才能を持ってこの世に産まれたことだろう。
しかし、偉業を達成させることがその人の幸せな場合もあるだろうが、才能が足枷となっては人間本来の幸せすら得られなくなる可能性もある。
確かに才能が埋もれてしまうことは惜しいことだ。
他人から見れば「何故その才能を活かさない?」と思われても仕方ない。
ならば、そうして才能を持って産まれた者は、自分の人生の幸せを必ずしも才能経由で得なくてはいけないのか。
いや、そんな訳ない。
普通でいることがその人にとっての幸せだとしたら、それを妨害する権利が誰にあるだろうか。
普遍的な日常に紛れた幸せ。
一見何処にでもある日常化した小さな幸せ。
だが、しっかりと向き合えさえすればそれ自体が大きな幸せだと気付ける。
他の何にも変えられないモノだと気付くことができる。
人に指図された人生を己の人生と言えるだろうか。
自分が自分であるために、1番大切なこととは何なのか。
自分にとっての幸せは何なのか。
普通でいられることもまた、特別なことなのである。
そして何より大切なことは、自分が自分として、今ここに存在しているということなのである。
今日も沢山の命が誕生している。
しかし世の中には自分の子を愛せない人もいる。
人の幸せを考えられない人もいる。
劇中メアリーが“彼(フランク)は最初から私を愛してくれた”と言うシーンがあった。
人を愛する、そしてその人の幸せを何よりも思う。
これもまた偉業、立派なギフトではないか。
最後にフランクがメアリーに渡した『方法序説』というデカルトの著書。
学問だけが人生の教科書ではない。
見て、触れて、感じて、自分自身の問題と向き合って。
ある道に僅かでも懐疑があるのなら、自分の信じる道を行く。
学問に疎い自分はこの『方法序説』を鑑賞後調べてみて、フランクの想いがこの一冊に強く込められていると思った。
鑑賞後、方法序説について調べてみると、より本作の深みに触れることが出来ると思います。(既にご存知の方には不必要)
それにしても今回メアリー役を演じたマッケンナ・グレイス、とんでもない子が出てきたもんだ。