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gifted/ギフテッドのTakaCineのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.3
才能を活かす環境作り☝️

もちろん僕のことではないですよ😌💧
本作の主役、数学に特別な才能があるメアリー(マッケンナ・グレイス)のことです。

特別な才能(ギフテッド)の子供を巡る養育問題を通して、子供に一番必要な物は?をじっくり考えさせてくれる映画でした。

・その能力を伸ばす特別な英才教育をしっかり受ける人生が幸せか?

・その能力に関係なく普通学級でも沢山の経験をする人生が幸せか?

語弊がある書き方をしましたが、答えはないと思います。その子の才能を伸ばすのも大事ですし、その子の情緒を安定させるには豊かな経験と愛情も必要でしょう。何よりも、その子の希望を聞くことも大事。

『キッド(チャップリン)』や『アイ・アム・サム』を引用するまでもなく、ポスターのキャッチコピーである「いちばん大切なのは、〈愛する〉才能。」これが全てを物語っていると思いました😚

メアリーが一番喜ぶことは、ピアノがある部屋でも、超一流の数学を受ける環境でもなく、大好きなフランク(クリス・エヴァンス)と片目の猫フレッドと一緒にいること。"愛し愛されること"―これに勝る環境はない!とはっきり言えます。

と言いながら、愛情があるからと…例えば、極端な貧困や疾患のある親と過ごすのはどうでしょう(立派に育てている方もいると思います)。危険であったり、害があったり、チャンスがなくなっては意味がありません。足りないところは、当然サポートが必要です。

ある時から、フランクは「(自分といると)害になるかも」と思い始めます(特に経済面で)。

愛情があっても、別れなければならないのか?

養育権について争う内に、心が揺れ出すフランク。フランクの母であり、メアリーの祖母である"教育ママ"のイヴリン(リンゼイ・ダンカン)なら、確かな教育と衣食住を提供出来ます。

安全で安定した環境を提供すること。それは養育には確かに大切な要素でしょう。

でも片目のフレッド(脚本家が実際に飼っている片目のネコがモデル)から伺い知れる個性―生まれ持った個性は優劣など本来関係なく、唯一無二なもの。かけがえのないもの。フレッドはいるだけで、みんなを癒してくれます。メアリーがフランクの元に来たのは、きっと何かしら意味があることに違いありません。

才能は一部の個性であって、メアリーの全部ではありません。才能に関係なく、メアリーに適切な愛情と助言を与えられる存在が、メアリーの成長にはとても大事😉!!

何故なら"ギフテッド"は大変な才能だけど、周りとの違いから傷つくこともあるでしょう。特別扱いをされ、怖がられることもあるでしょう。普通の生活など望めないかもしれない。方程式を解くだけの日々になるかもしれない。その人生は遣り甲斐はあるけど、果たして幸せかどうか?

メアリーは数学マシーンではなく、1人の血の通った人間。"ギフテッド"は"特別な才能"を指すだけじゃなく、"かけがえのない大切な存在"を指すと示してくれたフランク。それをメアリーに実感させる病院のシーンは、本作の中でも素晴らしい名シーンです😆✨✨✨

メアリーには注意深く"ギフテッド"として生きる術を教え、特別な目でなく普通っぽく愛情を注げるフランクが絶対必要だと確信したシーンでした。フランクなら、メアリーを素直に笑顔に出来るからね😉♪

常に戦闘態勢のままじゃ、生きた心地がしません。個性的で完璧でないフランクとフレッドが側にいれば、メアリーも安心して健やかに過ごすことが出来るでしょう😄

全体的に王道ストーリーだけど、じっくり感情に寄り添って描いてくれたので、途中から涙が止まらなくて困りましたね😭

良さを書き出したらキリがないけど、冒頭から『ドライビング Miss デイジー』のような温かくユーモア溢れる快活な雰囲気が心地良くて、何よりも丁寧な描写とキャストの好演が特に素晴らしかった😉♪

天才少女だけど、鉛筆の持ち方が下手だったり、フランクにしがみついてよじ登ったり(夕日のシルエット、さすがMV出身監督の絵作り)、"スペシャル"な食事にふてくされたり、病院内で飽きてフランクに寝そべったり…7歳の普通の女の子らしい描写と日常の何気ないスケッチが上手すぎる!!そこに猫までいる。微笑ましすぎます😍

"Good morning, Miss Stevenson."
2回目の見下した言い方、凄すぎる(爆笑)

クリス・エヴァンスの普通っぽいけど、ちょっと影があってやさぐれた感じがめちゃくちゃ良い。優しさが目に沁みる。この男の哀しさが繊細な表情からよく読み取れました。母から受けた束縛を、メアリーに経験してほしくなくて頑なに"特別扱い"を嫌うんだね。

オクタヴィア・スペンサーのちょっとお節介な隣人おばさんは、ステレオタイプだけど抜群の存在感。

本作で一番素晴らしかったのは、マッケンナ・グレイスです。1000人以上ものオーディションの中から選ばれ、監督から「彼女なしではこの映画は成立しなかっただろうね」と言わしめただけのことはある演技力、豊かな表情、純粋な子供らしさなど様々な魅力がありましたね。ほんと可愛かった😍!!

最初は里子に出そうと思ったけど、奇想天外で楽しくて可愛く思えてきた…歯がなかったり、睨めつけたり、泣き腫らしたり、跳び跳ねたり…表情がコロコロ変わる演技力はただ者ではなかった。難しい役柄を良く演じてましたね🎉彼女が画面にいれば決して飽きることはなかったです。

ナタリー・ポートマン、ダコタ・ファニングが出てきた時の衝撃を感じます。シャーリー・テンプルに憧れる11歳、これからが楽しみですね😊♪

キャストの演技とツボを押さえた演出に涙腺が緩みっぱなしでした😭

曲も良かったなあ😉♪
Cat Stevens
♪「The Wind」

Gary Lightbody and Johnny Mcdaid
♪「This is How You Walk On」

心に沁みる。

ダースペーターさんのレビューに感化され、更にみなさんの高評価レビューに後押しされて、公開終了前に鑑賞出来ました😃観られて良かった!!

みなさんも書いているけど、鑑賞時よりレビューしている時の方が、いろいろな想いが出てきますね。

本作を観ていると、メアリーが"ギフテッド"として生活するためには、フランク、フレッド、ロバータ、ボニー、そしてイヴリンも必要だったことが最後には分かります。

"ギフテッド"はその子の才能だけでなく、その子にとって支えてくれる全ての人々に捧げる言葉と思うのは、拡大解釈すぎますかね😉?

どう接するのが正しいか間違っているかなんて、誰にも分からない。でもその子への想いは間違いなく本物であり素晴らしいものだから。

ふと「You Raise Me Up」という歌を思い出しました♪

これはフランクの成長物語。
彼自身のトラウマ、葛藤、後悔、エゴを溶かしてくれるメアリーの存在がとても眩しい。

一緒に幸せになっていいんだよ!

だって必要にしている人がいるんだから。メアリーはフランクにとって守護天使なのかもしれませんね😉
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