きよぼん

gifted/ギフテッドのきよぼんのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.0
数学に対する特別な才能を持ったメアリーに、英才教育をしたい祖母イブリンと普通に育てたいメアリーの弟のフランク。

才能があるなら伸ばすのを最優先にするべきで、子供らしく生きることを許さない祖母。じゃあ彼女が一方的な悪者になるのか、といえばそうではありません。フランクの人間らしく普通の幸せを感じるべきという思いに共感しながらも、なぜかそちら側に完全にたつこともできず、映画を観ている人の心は揺れ動くことと思います。

親っていうのは自分の子供が普通に育って欲しいという願いと、特別な才能があればできるだけのことをしてやりたいうという、相反するような気持ちを持つからではないでしょうか。親っていうのは、ほんと子供に無限に幸せになって欲しいのでしょうね。

さらに言えば、観ている人がフランク側に完全にたてないのは、彼の姿勢がいまひとつ伝わってこないところにあります。映画後半でメアリーとフランクはひとつの決断をします。なぜその決断をしたのか、またはどういった言葉でメアリーを説得したのかが作中にないのです。泣いてしまうメアリーに「あれだけ話合っただろ?」と、フランクが言うシーンがありますが、何を話あったのかという描写があってもよかった。さらに言えば、なぜ彼は大学をやめてフリーの船の修理で生活しているのか、など詳しい説明がありません。

この点が見終わった後にどうかなー?と思ったのですが、よくよく考えてみると、もしかしたらそれは観客に考えてくださいということなのかもしれません。フランクのいう子供は子供らしく、人間らしい感情や喜びを感じて育って欲しいという考えには多くの人が共感します。そう考えるのであれば、どうやって子供に自分が考える幸せを伝えるのか。映画の中でわかりやすいセリフやシーンであえてメッセージしません。・・・ということなのかも。わかりやすいカタルシスがない分、自分の中の言葉を探すことのできる映画だと思います。
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