メランクさん

gifted/ギフテッドのメランクさんのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
5.0
天才の話にそんなに感情移入できるものかと思ってたが、いくら頭の中が人と違っていてもメアリーという少女はどう見ても子どもそのものであり、だからもうその元気な姿だけで泣けるんだ。

「仮に天才だとしても」、英才教育の末に確実な幸せが用意されているわけではないということ。
大人はすぐに子どもの個性に気づき、それを伸ばしてあげることが最善の策であると思ってしまいがちだ。
だが子どもにとっての幸せが本当にそこにあるのか?
親自身のエゴになってしまっていないか?

仮に天才だとしても、てっぺんを極めることが幸せだとは限らない。
一つのことに執着するのではなく、もっと凡庸なものに目を向けることも楽しいことなんじゃないのか?

天才に責任を持つ大人たちを通して描かれているのは、普遍的な親の姿に他ならない。

フランクはそれが正しいと思ってメアリーを育ててきたんじゃない。
メアリーを育てる中で発見するきらめきに魅了されたから、育ててきたのだ。
手探りでも、正しさを押し付けなかったからこそ、メアリーはフランクを愛し、思いやりを持った子に育っている。


実はフランクの優しさがすごい!
これほど醜悪な争いになっているにも関わらず、母親を口汚く罵ったりしない。
最後の告白のときですら、本当に腐ったことをやらかした母親に対しても冷静に、相手を慮った対応をする。
そりゃお姉ちゃんも彼に託すわけだよ。

クソな母親も含めてすごく丁寧に描いているし、全体的にすんごいよくできた作品でした。
去年のうちに見てたらお嬢さんは越えないにしても2位かなという感じです。