ゆず

gifted/ギフテッドのゆずのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
3.7
女優のジョディ・フォスターが監督し出演した1991年の「リトルマン・テイト」という映画と同じ、<ギフテッド>と呼ばれる天才児とその親や周囲の人間たちの姿を描いたヒューマン・ドラマ。「リトルマン・テイト」ではシングルマザーの母親と天才児の男の子だったのだが、「gifted/ギフテッド」ではシングルの叔父と天才児の姪というように性別が逆になってる。愛を与えてくれる保護者と、才能を伸ばしてくれる大人の間で板挟みになるところも同じだ。
何が言いたいかというと、けっこう手垢の付いたテーマなのかもしれないということ。四半世紀前にも欧米には既にギフテッド教育があって、それをめぐる親子の関係が独自の物語性を持っていた。

正直、「天才児にとって何がいちばん大切なのか?」という問いにはまったく興味がない。まず私自身が天才児ではなかったし、今後天才児に関わることもないだろう。自分の子供として授かる確率は人並みに低い。
しかし、それでもこういった超特殊な状況下で繰り広げられるお話に自分なりの感想や主張を抱いてしまうのは、この超特殊なお話が、実は誰しもに通じる普遍的な家族愛を描いているからにほかならない。
言うなれば、アンドロイドやエイリアンを通して人間存在を描こうとするSFジャンルに近い。天才児という稀有な存在を通して、普通の親子にも通ずる、別離や、子育て、教育について語ろうというのが、この手のギフテッド映画なんだろう。
天才児が幼くして親元から引き離されてしまうことも、天才児ゆえに巣立ちの時期が凡人より早すぎるのであって、親と子の別離はそもそも人類共通のテーマだ。そんな普遍的なテーマを、天才児を中心に据えることによって浮き彫りにしてみせた、ということだろうと思う。

その味付けとして、死んだ母親のある「遺産」であったり、叔父と祖母の親権争いであったりが、ある。
物語を彩る登場人物たち…。幼女界の新星マッケンナ・グレースの可愛らしさはもちろん最高。隣人役のオクタヴィア・スペンサーは私の隣人になってほしいし、ネコもほしい。
クリス・エヴァンスが哲学者の役というのはなにかの冗談かと思ったけど、この人、演技してるときはホントかっこいいからちょっと腹立つ(笑)



11/29 gifted/ギフテッド 字幕 @チネ・ラヴィータ
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