なちゅん

gifted/ギフテッドのなちゅんのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.4
泣いた。
フランクの台詞の一つひとつが全部良かった。優しくも的確であり明確で、間違いなく父親以上に父親だった。
実父が自分を探しもしなかったと知って涙に暮れるメアリーを病院に連れ出して、赤ちゃんが生まれた瞬間の家族の姿を見せるシーンがとにかく最高。間違いなく愛されているのだと、実感を持って教える尊さ。
なぜフランクが良い人だと思うのと聞かれたメアリーが、「最初から愛してくれたから」と答えたシーンがここにきて響いてくる。

叔父であるフランクと2人で暮らし、数学において稀代の才能を持つメアリーは、他のことにも頭の回転が早くて、決して「子供らしく」ない。それでも振る舞いや感じ方は7歳のそれで、その幼気な無垢さをフランクは愛し守ろうとした。メアリーを「子供」として「普通」に育てることを、「特別な子供」として全ての楽しみや子供の幸福から引き離されて育った、今は亡きダイアンは望み、フランクはそれを叶えようとしていた。
才能ある人が往々にして孤独に陥るのは、「特別」というラベリングをされて、周囲から隔離されてしまうからじゃないのかな。

完璧主義、才能至上主義のイヴリンは自分の得られなかったものを娘に押し付け、その娘の亡き後は同様に才能を持つ孫娘に押し付けようとしたように見えた。彼女は彼女で必死だったんだろうけれど、その一方で彼女は何を求めていたんだろう、と空虚さも残る。
強情で嫌な女を演るリンゼイ・ダンカンはあのカラッとした爽やかな笑顔がなくて寂しいな。
なちゅん

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