小

バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍の小のレビュー・感想・評価

3.6
新宿シネマカリテの「カリコレ2017」での鑑賞3本目。第1次世界大戦時の1917年、ドイツ軍の毒ガス攻撃や塹壕戦によって壊滅の危機に追い込まれたロシア軍は、最後の手段として女性だけの秘密部隊を結成するという実話に基づく物語。

ロシアの女性部隊についてググるとウィキで「マリア・ボチカリョーワ」という女性がヒットする。第一次大戦中、ロシア軍に入隊した彼女は戦場で実績をあげ、ロシアで初となる婦人部隊の創設に任じられた。この映画の主役も彼女だろう。

映画を観る限り、婦人部隊への期待は実戦での活躍というよりも、長引く戦争にヤル気を失っていたロシア軍の士気を高めることのように見える。

だから、戦力と見られていない感じだけれど、訓練での頑張りが認められ前線に派兵されると、祖国のために捨て身で戦う彼女達に心を揺さぶられないわけにいかない、みたいな。

カリコレで本作の前に観た、第2次世界大戦中、ナチスドイツの戦車部隊にわずか28人で立ち向かった旧ソ連兵の“物語” 『パトリオット・ウォー』はロシア国民の自尊心を満足させることが主題だったように思う。

一方、本作は日本人の自分からみてもドラマ的に面白く観れる要素が多い。それは隊長と隊員の絆や隊員同士の友情、そして恋であったりする。

素人が集まって、隊長のもと順調に成長していくけれど壁にぶつかる。それを皆で乗り越え、念願の前線配備を勝ち取る…。青春スポコンドラマみたい。

でも、戦場に行けることを喜ぶ姿には複雑な気分。戦場ではヤル気のない男達を尻目に、まさに孤軍奮闘。そんな中、一人、また一人と仲間を失っていくのは他の戦争映画でも良くあるけれど、その仲間との関係が美しく描かれていただけに、切ない気持ちになってくる。

婦人部隊はやがて力尽きドイツ軍に追い込まれるけれど、このまま壊滅させてしまったら男の存在意義は何なのよ、みたいな感じに。

ということで、面白いことは面白いのだけれど、戦争が題材なだけに、やっぱり後味はあまりよくないかな。

●物語(50%×3.5):1.75
・戦争がベースだと、どうしてもね。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・女性も全員丸刈り。訓練、戦闘シーンもまずまずの迫力。

●映像、音、音楽(20%×3.0):0.60
・可もなく不可もなくかな。
小