ベルサイユ製麺

ファンタズムV ザ・ファイナルのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.0
チビッコの頃にファンタズム観てたつもりだったのだけど、どうにもシルバースフィアの事しか思い出せません。が、まあホラーの続編なんてそんな復習とかして臨むモノじゃないかな?とイキナリ完結編にチャレンジ。

…凄い、怒涛の分からなさです。頭の中に薄っすら残ってる『ファンタズム』と言えば、ゴスい御屋敷の中をビュンビュン飛び回るシルバースフィア(野球ボール位の銀色のボールで缶切りみたいな爪でおデコにくっついてドリルでアレします)、あと身なりの正しい怪人物。どちらかと言えばゴシックホラー的なイメージだったのですが、今作いきなりなんかばっちい。ぼろぼろの服装、大型の銃器を持った小汚いおっさま。髪型は志村けんの未来予想図といった趣。で、彼が愛車の71年型クーダに乗って銃をぶっ放しながらシルバースフィアと追っかけっこ。…分からん。いくらなんでも前作から飛躍しすぎでは?と思い検索してみてビックリ!今作は『ファンタズム』シリーズ5本目の完結編で、完結編で有りながら本国でもビデオスルーという潔いスタイルで公開された模様である!うむ。そりゃあドラゴンボールの1巻の次に最終巻読んだら訳分からんわね…。

物語は、シリーズ通しての主人公レジーが宿敵トールマンとの馴れ初めなど回想しながら、ヨボヨボになった今ついに最期の対決に臨む、といった感じ。…なのですが現在の終末志村と化したレジーは意識が超曖昧で、回想の時制がポンポン飛ぶ。何処までが現実か分からない、回想の編集が雑…、そもそも全体的にファンムービーみたいな仕上がりである、などいろいろ難が有り、正直全然お話の道筋が整理できないのです。にわかには信じ難いと思いますが、最終的には『マッドマックス』×『インディペンデント・デイ』÷100みたいな雰囲気になります。どうです?観たいでしょ⁇
ぶっちゃけ最低映画の部類なのですが、うるさいくらい鳴り続ける安い劇伴も、チープな特撮も、小人さんの活躍も、全てが好ましく思え、始終ニヤニヤで観賞できました!個人的にはイケメンの小人の方の「爆発も悪くはないものさ」という台詞にシビれましたね。

中盤で主人公レジーが愛車から武器をゴッソリ持ち出すシーンがありまして、いろんな銃器に混じって、斧、はまだしもヌンチャクをズタ袋に詰めているのには爆笑してしまったのですが、特典映像に過去のファンタズム全シリーズの予告編が収録されていて、その中にヌンチャクを使うキャラが出て来てビックリしました。…意外と過去作のオマージュがみっちり詰まってるのかもしれません。生粋のファンの方が観たらもっと高評価なの(か、完全否定ぐらいのテンションなの)かもしれませんね。
今作は何故か監督を務めていない、オリジナルの監督ドン・コスカレリ。フィルグラフィーを見ると、なんだか素敵そうなタイトルの並ぶキャリア初期から、『ファンタズム』を撮った事によって完全に方向転換しているのが見て取れと愉快です。
1976年『誰よりも素敵なジム』

2002年『プレスリーVSミイラ男』
…何があったの⁇やっぱり「爆発も悪くはないものさ」的なやぶれかぶれ感?

日本でシルバースフィアが似合いそうな格調高い建築物は国会議事堂かな?と思うので、どうかそこのところ一つお願いします。一番偉そうにしてる奴を狙うのだよ!