ねぎおSTOPWAR

君のいる世界から僕は歩き出すのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

3.0
邦題:「君のいる世界から僕は歩き出す」
英題:I Belonged to you
*原題は読めず。英題からするとなかなかのネーミングセンスですよね!
約一年前、中国やヨーロッパなどで上映されていたようです。《東京/沖縄・中国映画週間》で来日。そのせいでしょう、字幕が<日本語><英語><中国語>の3段でした!これは初体験。映像の邪魔だし読みづらかったなあ。


主人公のチャンモーは重慶のFM局シティFMのパーソナリティ。
直観的感想は、かつての黄金期のフジテレビドラマを観た気分。主要登場人物は伝説の脚本家鎌田敏夫氏の定番となる男女7人 → 3人の男にまつわる恋愛の話。
うーん、全員のエピソードを描いちゃったからちょーっと長く感じてしまったかな。

映像的には、中国主要都市の空撮映像をバックに各地のFM局の番組音声が流れてきて、想像を超えるスピードで近代化する中国を目の当たりにします。ちょっと衝撃的。
そしてこの空撮も含め、かなりの分量ドローン撮影でした。さすがDJIの国。ドローンの軌道とカメラの動きが別だったので、おそらくインスパイアを使っているのかな。木々や建物との距離を考えるとヘリではなくドローンだと思いますが・・。
50のわしにはノスタルジックすぎる恋愛ストーリーでしたが、認知症の母の介護問題も描いていて映画と隔絶はしませんでした!また、「既に都会病!?こんなにみんな孤独とは!」と感想を抱いたのですが、そんな中国社会のリアルも描かれていました。



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おそらくこの作品、簡単に観ること出来なさそうなので、以下ストーリーを少し詳細に記します。新鮮に映画を観たい人は読まないでください。
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チャンモーと同僚女性人気パーソナリティの○○(名前忘れちゃった)は大学の放送サークルで出会い交際中。二人で、視聴者の悩みを聞くスタイルの番組を放送中。ある女性の「誕生日なのに一人で寂しいんです」という電話に応えたところ、○○から突然別れを告げられ、FADERを上げちゃったから公開別れ話になってしまった!・・・

二年後・・・
チャンモーは○○とよりを戻したい。○○にその気はない。総じていうとチャンモーを「子供っぽい、大人になってよ!」と思っている。そこに局の新人ヤオジーが登場。この三角関係が主軸。ヤオジーは、(理由は後々わかるのだが)チャンモーを応援しているスタンス。

さてチャンモーの家には、認知症の母と、いとこのシーバー(若い男性 イケメン)、親友のジュートウ(「ふぞろいの林檎・・」で言う柳沢慎吾枠)が同居。チャンモーはおおらかにそれらを受け入れている。中国って基本他人にあまり干渉しないみたい。

独創的な電気的発明品に夢中で他の人間的なことに興味がないシーバーに興味を持ち追いかけるのが婦人警官ライチ。後にわかるがライチには結婚の直前に男に逃げられた過去があり、男の嘘に敏感。シーバーはピュアすぎるほどでそこを好きになる。

ジュートウには、アメリカにいる彼女(?)がいる。彼女も大学の同級で、寮の相部屋の子のお金を盗んだ疑惑の中、無実を唯一信じたジュートウと付き合うことに。その彼女は何年もskypeでクールに話すだけで、さらにこれまで300万円程度を送金している。ジュートウは彼女が二人の資金を貯金してくれていると説明。

チャンモーと○○はお互いの番組の視聴率勝負をすることに。かけたものは結婚。結果番組中に具合が悪くなったヤオジーを病院に運ぶために(いやーあまりにテレビ的あるあるです!)番組中断で賭けは負け。

一方ジュートウの彼女は帰ってくるなり「あなたと別れるために来た」と皆の予想通りの展開。金のことは不明なままだが、思いを貫くジュートウに焦点。彼は失踪し、彼女がいた場所で屋台をひっぱる暮らし。

シーバーとライチは恋仲になり結婚。チベット近くかモンゴル自治区か不明だが、車でだいぶ移動した場所(空も山もとても美しい場所)でチャンモーとヤオジーの立ち会いのもとプロポーズ。・・夜、草原に寝そべり満点の星空を見上げるチャンモーとヤオジー。彼女は「一年後もここでこの空を二人で見たいな」といかにも映画のラストを思わせるフリ。

ライチが因縁のチンピラたちに襲われ、シーバーが駆けつける。ナイフを持った男に刺されるシーバー。ライチの身の回りにある電化製品全てを改造して、死んでもなおまるでシーバーがそばにいるようで微笑むライチ。

さて○○とも本格的に別れ、ヤオジーもまたタイトル通り「君(チャンモー)のいる世界から僕(ヤオジー)は歩き出(す)」そうとする。ここで実は冒頭の電話の子がヤオジーであり、チャンモーがいるから入社したという過去が明らかに。チャンモーは番組で、「僕がヤオジーを探していることを伝えたいから、一人でもいいからライトを点滅させてくれ」と呼びかける。街を見て一旦諦めて座るチャンモー。しばらくして街を指さすディレクター。なんと至るところ車はハザードを点滅させ、アパートの部屋は電燈をチカチカさせている。これ、感動的な映像でした。しかしヤオジーは戻ってこず・・。

ほぼ一年後・・
チャンモーは母と前述の奥地に移り住んでいます。そしてラスト、思い出の場所に佇むチャンモー。うしろにヤオジーが笑って立っている。カメラは空に舞い上がり(ドローン)終わり。エンドクレジットの最中、「チャンモーが結婚するってよ、ジュートウ知ってる?」という内容の電話の声がインサートされる。