HARUSUI

ユリゴコロのHARUSUIのネタバレレビュー・内容・結末

ユリゴコロ(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

予告編を観ていつかは観たいと思い、すっかりと予告編内容を忘れた頃に、観賞致しました。

原作ありの邦画ミステリー。アタリかハズレか、自分はハズレたと感じました。
何一つ響かない。登場人物の思考や、観るものへの問題提起が、ペラペラです。
現代の主人公、カフェレストランのオーナーが、余命わずかの父親の部屋で、奇妙なノートを見つけます。ノートの主人公、ミサコが、まだ幼い頃に、異質な遊びに魅了され、小学生で殺人、中学生で殺人、専門学校時代に2件の殺人、社会人で殺人…その殺人の詳細と、犯人が書いたとしか思えない心情が綴られたノートです。オーナーのリョウスケは、ノートの内容に共感はできないけれども、何故か強く心を揺さぶられます。

ミサコが成長する過程と、殺人を犯していく様子が、淡々と流れていきます。中学生の頃までのミサコは、完全なサイコパスです。ただ、専門学校のときの2件の殺人は、少し違う。友人と思うようになったミツコをリストカット依存から殺人という方法で救い、付きまとわれてウザイと思っていたラーメン屋の店員を突き落として殺し、ミサコにとっては衝動ではなく、意味のある行動のように思います。

気持ち悪いのはリストカットのシーン。これでもかっていう程あるのですが、目を背けたくなる、気持ち悪さです。リストカットを繰り返す方たちにとっては、生きる証のようなものなので否定は致しませんが、この映画はミツコのシーンを結構、長めに撮影しているため、観ている方は辛いです。

平行してリョウスケにも事件です。婚約者が失踪。そして婚約者の元職場の同僚ホソヤがカフェレストランを訪ねてきます。
このシーンでなんとなく、いろいろわかっちゃったような気がします。

ミサコは専門学校を卒業し、一応まともに就職。しかし、1年で辞めて娼婦になります。
いまいち時代背景がつかめないのですが、街角に本当に女性がバラバラ何人も立つことがあるのだと感心。風紀の悪い区画は、今でも名残があるのかもしれませんね。

ミサコのちょっとした恋。恋の相手は、過去の大きな罪悪感を抱えて生きている。そんなとき、ミサコは父親不明の子を妊娠。
恋の相手はミサコに、結婚してミサコの子を一緒に育てようと提案。

リョウスケが徐々に壊れていきます。婚約者の行方がわかったとホソヤが知らせに来たからです。
その失踪理由が陳腐で、驚きです。この事件も、この映画をペラペラにした要因ではないかと思ってしまいます。

ミサコは子供を産むと憑き物がとれたように、穏やかになります。
子供をあやす姿は殺人を犯す人間とは真逆です。
しかし幸せは続かず、刑事がミサコの元を訪れます。ミサコのノートでミサコの罪を知った夫。苦渋の結果、夫はミサコの自殺を手助けします。

リョウスケは婚約者を救うべく、ホソヤから聞き出した場所へ向かいます。すでに、婚約者を拉致監禁していた輩は死体となり転がっていました。
婚約者を無事救い、自宅へ連れ帰るリョウスケ。ホソヤの正体に気付きます。そして誰が、拉致監禁者を殺したのかも。

ミサコの夫は、ミサコを殺すことなんてできるわけがない。二度と、自分と息子の前に現れるな、と約束をさせ永遠の別離です。

ミサコとリョウスケとミサコの夫と余命わずかなお父さん。紐解かれます。
そして、お父さんの病室へお母さんが現れます。リョウスケは幸せであってほしい病室を、複雑な表情で外から見上げています。で、終了。

謎だったり、それおかしいぞっていう場面は、もう山ほどあります。
・冒頭のリョウスケの運転。異常なアクセルのふかしかた。そして、どうしたとツッコミを入れたくなるほど突拍子もなく豹変してスピードを上げる。って伏せん?わざとらしい。
・ユリゴコロ→ヨリドコロ
これセリフをいちいち置き換えないと意味がわからなくなります。
・ミサコはサイコパスとは遠い。中学生以降の殺人件数が少ない。大人になってからは、感情が介入している。
・ムカデがいます!と叫びながら入ってくるバカな店員。お客さんの前で、それはないでしょう。そして、そのあと頼まれた配膳を無理です!と言って逃げ出す。小学生か?仕事だぞ。
・中学生のミサコが殺した方法。いやいや、大学生のあなた、隣にいたなら下から上にいく力と、不自然に上から下にかかる力の違いぐらいわかるでしょう?しかも、あの勢いだったら、よく手を挟まなかったなと感心すらしました。
・中心となるユリゴコロの話。子供が言葉を発せないって相当の大問題なのですが、おじいちゃん先生、心の拠り所とか何言っちゃっているのでしょう?そんなに医学が遅れていた時代でもないでしょうに。光がダメ、音がダメ、人と接することがダメ、その上、言葉が出ないって…もう少し専門の先生に診てもらえていたなら、ミサコかわいそう。

長々感想でしたが、一言、気持ち悪い映画でした。
松山ケンイチさん、格好良いです。
ミサコの子役2名、かわいいです。
HARUSUI

HARUSUI