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ユリゴコロのUのレビュー・感想・評価

ユリゴコロ(2017年製作の映画)
4.0
殺人事件のニュースを見る時、
「なんて酷い」「許せない」「頭がおかしい」「死刑にするべきだ」と、
感情に任せて加害者を非難することしか、私たちはしない。

しかしこの映画は、
殺人鬼の立場からの世の中を見ていた。

殺人は許されることではないし、
共感もできない。
しかし、オナニーやセックスが快感であるのと同じように、リストカットや殺人に快感を覚える人がいるということ。
それにしか快感を覚えることができない人がいるということ。
もしかすると自分自身が、そういう人間になる可能性だってあったかもしれないということ。
それを無視してはならないと感じた。

共感とは違う。
理解する努力をするということ。
それしか、人を、加害者を、救う術はないのかもしれない。

もし自分が殺人事件の被害者の家族だったら、そんな綺麗事は言っていられない。
加害者を殺したいと思うのだろう。

しかし、殺人事件のニュースを見る時。
事件の当事者ではない人間がやるべきことは、少なくとも感情に任せて加害者を非難することではない気がする。
当事者ではない人間だからこそ、やるべきことがある。加害者への理解をしようと努力する必要がある。
それが、加害者を生み出した社会の問題に気がつくきっかけになるのかもしれない。
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