SatoshiFujiwara

アウトレイジ 最終章のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.6
この『最終章』、前2作との比較において観る人がどこに力点を置くかで評価が別れるんじゃなかろうか。前2作では派手なドンパチ&残虐シーン(第1弾)、罵詈雑言の応酬(ビヨンド)がとにかく目立っていたのに対し、本作は双方とも抑制気味であり、その代わりに前2作を引き継いだ、こじれにこじれた人間関係の行く末をあぶり出していくことに力点が置かれ、役柄=役者自身の加齢が否応なく加わることにより渋みが増している(本作には若手がほぼおらず、世代交代の難しさもテーマだろう)。

これを分かり易いエンターテインメント性が後退して物足りないと感じるか、あるいは深みを増した、と感じるか、ということではないか。俺は好きでしたね本作。最後は予想されたとは言え苦い、あまりに苦い(とは言え笑えるシーンも多々あります。実際に病み上がりで前二作よりは全体にテンションが下がっている西野=西田敏行と中田=塩見三省が瞬発的に見せるコミカルなハイテンションさにはやはり笑うしかない)。

ちなみにドンパチがなく人間関係に力点が置かれたヤクザ映画という事で山下耕作の『博奕打ち 総長賭博』(三島由紀夫が自決する直前に観て大絶賛したので有名)に非常に肌触りが似ているのはたけしが意識したのか、どうか(この作品、まるでシェイクスピアみたいなのだ)。あと花菱会の野村(大杉漣)が首まで生き埋めにされる悲喜劇的シーンは深作欣二の『北陸代理戦争』の引用あるいはオマージュかな?
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