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アウトレイジ 最終章のマーチのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
4.3
わーーーい!!!!
僕は『アウトレイジ』大好き少年だーい!

こんなところで「リズムアウトレイジの発表会」がやってるよー!
僕が見なきゃ誰が見るってんだいっっ!!

♪〜「さくらんぼ/大塚愛」

あー!
怖いおじさんが銃持って出てきたー!

バーンッ💥 バンッ💥 バンッ💥 バーンッ💥

なるほどー! リズムに合わせて銃をぶっ放すのが、リズムアウトレイジなんですねー!!

いい睨み方もしてますねー!

サビがくる…これサビどうなっちゃうのーー!?

ゴトっ…

銃捨てたーーーーーーーーーーーーー!!

「何だコノヤローバカヤロー!コノヤローバカヤローコノヤローバカヤローコノヤローバカヤロー!!」

そして「バカヤロー」「コノヤロー」を連呼してるぅぅぅぅうううううう!!!!

なんでサビで銃をブチかまさずに、罵倒してばっかりいるのよ〜〜!


サビ終わっちゃったよーー!

バーンッ💥 バンッ💥 バンッ💥 バーンッ💥

どうしてサビでそれをしないのよ〜! それすればカッコいいじゃない!!

あれ…「バカヤロー」と「コノヤロー」を求めてる俺がいる…シリーズ前2作を観ているからこそ、あの罵倒言葉を求めてる俺がいる……

もう一度サビがくる…サビがくる…

ゴトっ…「何だコノヤローバカヤローコノヤローバカヤローコノヤローバカヤロー」

銃捨てたー、罵ったぁぁああああ!!
ありがとうございまぁぁぁぁぁぁぁす!

「迷惑もハローワークもあるかーいっ!」

えっ…それは何? その罵倒言葉は何よ??
迷惑もいいよ👍 ハローワークもいいよ👍
ただあの言葉が聞きたい…どうかあの言葉をお願いします🙏


あれっ…伝説の銃だ! 伝説の銃が祠に埋まっている! おじさんじゃ抜けないよ〜伝説のヤクザだけが抜いて使うことのできる銃だよ! おじさんじゃ無理だよ〜〜

って抜けたっ! 捨てたっ!!

「バカヤローコノヤローバカヤローコノヤローバカヤローコノヤローダンカンバカヤロー」

罵ったぁぁぁあああああーー!
うぅぅーありがとうございまぁぁぁぁぁぁぁぁあああああす🙇🙇‍♀️


そんなこの映画のタイトルは…

『アウトレイジ 最終章』でしたー!

ありがとうございましたーー!!


*『アウトレイジ 最終章』を観たか、「にゃんこスター」のネタを知っている人なら理解できたとは思いますが、知らない人からすれば「マーチはとうとう壊れたな」と思われ兼ねないので、ここで注釈しておきます。笑
要するに長い前置きのチンケなネタなので、この後のレビューで挽回したいと思いま〜す。笑



【レビュー】
《全員老害》

はい、ここからが正式なレビューですよ。
さっきあったことは忘れて下さい。笑

ちなみにネタバレあるので、分かってはいるけど結末はまだ知りたくないという方はここから先ご遠慮下さい。

ついに血湧き肉躍る日本男児大興奮大声援大罵倒の『アウトレイジ』シリーズが最終章を迎えてしまいました…😭
何やら感慨深さもありますが、正真正銘トリロジーの締めくくりとなった今作は、前2作と“色”が全く違うなという驚きがありました。どちらかと言えば前2作は黒白のモノクロな印象で、登場人物たちの輪郭を薄っすら掴むことができる程度だったのが、今作は引き継ぎキャストの多さからか其々の人物に色味が掛かっていて、全体的には濃いブルー……哀愁を纏っているという意味も含め、北野ブルーを心情的に知覚する“印象派北野ブルー”作品だったのではないかと思います。そしてその色味があったことで傑作『ソナチネ』懐古の様な感覚に陥ったのではなかろうかと考察しています。

トリロジー構成的には1を別物とし、2(ビヨンド)と3(最終章)が共鳴し合っているといった感じなので、2と3は地続きと考えて良いかもしれません。

外枠は大体そんなところで、本編に話を移しますが、シリーズの中では最もバイオレンス描写や「バカヤロー&コノヤロー」が少ないにも関わらず、コテコテなストーリーと絡み合う思惑、そして後半畳み掛けるようにやってくるバイオレンスのおかげで個人的にはかなり楽しめました!
確かに釈然としない結末や物語重視の構成で、前2作に比べればイロモノ感は薄い…でもそれでいいんです!その薄さが今作における大友の行動原理に呼応していればそれでいいんですよ! そして見事大友の現在の風格と映画の雰囲気がマッチしていたことで、大団円とも言えるような哀愁漂うラストになっていたのではないかと思います。

監督が「アウトレイジシリーズはサラリーマンの社会をヤクザに置き換えただけだ」と言っているように、 今作は現実の会社でもよくあるであろう血の繋がりだけで新会長に就任した男をどうにか引きずり降ろそうとする思惑と、古参の邪魔なヤツを消し去ろうとする新会長の思惑が巧みに絡み合うことで、一種の心理ゲーム要素と従来のヤクザパワーゲーム要素が縺れ合う様が恐ろしくも爽快。どこか現実的な側面も含まれているからこそリアルさや切なさを感じることもできます。

宇多丸さん😎がラジオで寸評していた中で面白い考察だなと思ったのが、今作はトップ論でもあるということ。たけしさん、西田敏行さん、大杉漣さん、金田時男さんの四巨頭がトップ(リーダー)として恐れられている、いないの関係性、慕われている、いないの関係性によってタイマンを張り合っていて、物語的には決着つかないまでも、観ている側に其々「この人が上司なら…」と考えさせ、鑑賞後に議論必至の楽しさも持ち合わせているのが今作の魅力的なところでもある。

些細なことから拍車がかかってトンデモナイ展開になっていくあたりがアウトレイジらしくて良いし、やっぱり濃いなと感じるキャラクターたちが渾然一体となっているのに作品としての秩序は失っていないし、老害の様に暴れまくる(暴走しまくる)ヤクザのわちゃわちゃの中に少しコントっぽいところとかシュールな笑いが盛り込まれているあたりが相変わらず最高だなと感じます。

西田さんが独壇場的大活躍・大躍進する内容であるので必然的に目立つし、明らかに分かるアドリブも群を抜いて面白い🤣ので役者としての凄味を存分に味わえます。また、西田さんの腰巾着的ポジションの塩見三省さんは個人的にベストアクトで、“醸し出す恐怖”が物凄くて、喋らなくても怖いし、喋らないことも怖いので八方塞がりの恐怖オーラを放っていて、素晴らしいの一言に尽きます!身振り手振りのシュールな可笑しさによる怖さのバランスも絶妙で、誰もが圧倒されるのではないでしょうか…
大杉漣さんはあの手のキャラクターが十八番感ありますよね。笑 いやもうピッタリなので違和感無いし、何やってもうまくいかない感じが板につき過ぎ!笑

大友は個人的に1番見たかったカタチで現れてくれたので、腑に落ちた感じがあります。1では地位が低すぎたし、2では老衰しきっていたので、最終章にしてようやく花開いたようで嬉しく思えてきて、大暴れするシーンの勇ましさに泣いたような気さえします。笑
地位もそれなりにあって、部下との関係も良好で、哀愁漂わせながら暴走する大友の格好良さに惚れました…笑 ほんと最高でした👏👏

花火にキャンプに宴会大虐殺と、後半畳み掛けるようにやってくるバイオレンス拷問描写の数々がキャッチーなのにやっていることは非情で、そのバランスが人気の理由でもあるんですよね〜特に宴会大虐殺はキタノ映画におけるバイオレンスの常道を闊歩するかのような感動と興奮に満ち溢れているので、見逃すことのないように!!

キタノ映画で1番好きな『ソナチネ』っぽさがかなりあったことの嬉しさと、シリーズで初めて劇場鑑賞できたことの高揚感で個人的にはいい締めくくりだったのではないかと思います。義理人情に厚く、今の社会では生き辛い存在の大友が恩を返すために奔走し、最終章で探し続けた自分の死に場所とその行く末に思わず胸が熱くなりました………全員殺してから終われよバカヤロー!コノヤローなに完結してんだ!!(危うく付け忘れるところでしたので、最後に付けておきました。笑)


【p.s.】
補足なのですが、市川との関係性がまた男臭くて良かった…言葉交わさずとも通じ合う何かがあるところと大友が挨拶もなく去って行ったことも含め。
金田さんは演技素人なのにあの怖さと風格と貫禄があることが前作同様驚きで、人生経験の豊富さあってこその卓越した芝居がそこにはあった。
白竜さんは人として可愛すぎるし、劇場で拝めること自体奇跡に等しいので大画面で迫力を体感できたことが何より嬉しかった…ご馳走様でした!笑
松重さんはうまくいかなくて身悶えていたところが1番面白かった…以上!!笑

釣り🎣とかポップな要素を挿入してくるあたりも良かったですね〜昼間の太刀魚が暗示していることの深さもヤバいですし…

あとスピンオフでその後を描くというのも面白いかもしれませんね。

ただ北野監督は目下自著小説「アナログ」の映画化が次作の構想のようなので、アウトレイジスピンオフへの期待も少し残しつつ、次作を待ちたいと思います。

劇場はおじさん多めで物々しい雰囲気だったので、既にアウトレイジ感漂ってて、今年劇場で観た映画の中ではある意味1番アットホーム感があって良かったです。笑

*ちなみにアウトレイジは「バカヤロー」と「コノヤロー」だけ言っとけば、感想を語り合えます。笑

*アウトレイジあるあるとして、アウトレイジ鑑賞後は自分が強くなった気になるので、劇場からメンチ切りながら怖い態度で出てくるお客さんが多いです!お気を付け下さい。笑
(ちなみに私もそのうちの一人です。笑)


【映画情報】
上映時間:104分
2017年 日本🇯🇵/監督・脚本・編集 北野武/音楽 鈴木慶一/キャスト ビートたけし/西田敏行/大森南朋/ピエール瀧/大杉漣/松重豊/白竜/光石研/原田泰造/中村育二/津田寛治/池内博之/塩見三省/岸部一徳
/北野武監督が裏社会に蠢く男たちの仁義なき戦いを炙り出し、ヒットを飛ばした『アウトレイジ』シリーズの完結編。今作は前回の壮絶な権力抗争の後日譚となり、底なし沼のような戦いに身を投じる男たちの悲哀を描く。
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